愛光中2013 大問3|自転車の速さの比と追いつきを解説
愛光中学校2013年度(平成25年度)算数の大問3を解説。太郎君と次郎君が自転車でA地点からB地点を通りC地点まで進む速さの問題を、距離の比と時間から速さの比を作り、①解法で分速を求める流れで整理します。B地点で速さが変わる区間の追いつきまで、進行図をもとに手順を追って解説します。高松市の学習塾クローネ学園。
この問題について
愛光中学校 2013 年度(平成 25 年度)の大問 3 は、太郎君と次郎君が自転車で A 地点から B 地点を通って C 地点まで進む、速さの問題です。2 人とも B 地点で速さが変わるので、区間ごとに分けて考える必要があります。
この問題のカギは、距離の比と時間から速さの比を作ることです。距離が実際に何 m かはまだわからなくても、比のままで速さの比を作れます。そこへ「1 分あたり 20m おそくした」という条件を差に対応させると、比が実際の分速に変わります。
同じ愛光中の2013年 大問2(比の文章題)・2010年 大問2(速さの比)・2013年 大問1後半の解説もあわせてご覧ください。
愛光中(2013)3
太郎君と次郎君はそれぞれ自転車で A 地点を出発し、B 地点を通り C 地点まで行きます。太郎君は 7 時に A 地点を出発し、7 時 24 分に B 地点を通り、B 地点からは速さを 1 分あたり 20m おそくしたので、7 時 49 分に C 地点に到着しました。次郎君は 7 時 10 分に A 地点を出発し、B 地点を通り、B 地点から速さをおそくしたので、7 時 46 分に C 地点に到着しました。A 地点から B 地点までと B 地点から C 地点までの距離の比が 16:15、次郎君の A 地点から B 地点までと B 地点から C 地点までの速さの比が 4:3 のとき、次の問いに答えなさい。
- (1)太郎君の A 地点から B 地点までの自転車の速さは分速何 m ですか。
- (2)次郎君の A 地点から B 地点までの自転車の速さは分速何 m ですか。
- (3)次郎君が太郎君に追いついたのは A 地点から何 m のところですか。
3 (1)
太郎君の A 地点から B 地点までの自転車の速さは分速何 m ですか。
答え・解説を見る
太郎君について、図に書きこめる時間から確かめます。A 地点を 7 時に出て B 地点を 7 時 24 分に通ったので AB 間は 24 分、B 地点から C 地点へ 7 時 49 分に着いたので BC 間は 25 分です。
距離は AB:BC = 16:15 と与えられています。速さは距離 ÷ 時間なので、この 2 つを区間ごとに割れば、距離が実際に何 m かわからなくても速さの比が作れます。
太郎の速さの比は
ここまでは比だけの話で、まだ分速は出せません。比を実際の m に変えてくれる条件が 1 つ必要です。それが「B 地点からは速さを 1 分あたり 20m おそくした」です。
AB 間の速さを 10 m/分、BC 間の速さを 9 m/分 とおくと、おそくなった分は 10 − 9 = 1 m/分 です。これが 20 m/分 にあたります。
太郎の AB 間の速さは
(答)分速 200m
KRONE ポイント
比だけでは分速は決まりません。比を実数に変える手がかりが 1 つだけある——ここでは「1 分あたり 20m おそい」がその 1 つです。速さの比 10:9 の差 1 が、そのまま 20m に対応します。速さの問題で「比は作れたけれど数が出ない」と止まったら、実数につながる条件を問題文からさがす番です。
3 (2)
次郎君の A 地点から B 地点までの自転車の速さは分速何 m ですか。
答え・解説を見る
次郎君は 7 時 10 分に出て 7 時 46 分に C 地点に着いたので、A から C まで 36 分かかっています。ただし B 地点で速さが変わるので、この 36 分を AB と BC に分けなければ、分速は求まりません。
分けるには、次郎君の AB と BC にかかった時間の比が必要です。時間は距離 ÷ 速さで作れます。距離は AB:BC = 16:15、次郎君の速さは AB:BC = 4:3 と、どちらも与えられています。
次郎の時間の比は
速さの比が 4:3 だから時間の比は 3:4、としてはいけません。逆比が使えるのは距離が同じときだけ で、ここは AB と BC で距離がちがいます。必ず距離 ÷ 速さの形にもどします。
時間の比 4:5 の合計 9 が、36 分にあたります。
次郎の AB 間の時間は
これで、次郎君が B 地点に着いた時刻もわかります。7 時 10 分の 16 分後で 7 時 26 分です。
あとは AB 間の距離がわかれば分速が出ます。AB 間の距離は、(1) で求めた太郎君の速さから求められます。太郎君は AB 間を分速 200m で 24 分走ったので、
AB 間の距離は
次郎の AB 間の速さは
(答)分速 300m
KRONE ポイント
「A から C まで 36 分」だけでは、B でどう区切られたかがわからず手が出ません。合計の時間を比で切り分けるのがこの問いの急所です。切り分けの比は、距離の比と速さの比というすでに持っている 2 つの比から、距離 ÷ 速さで作れます。速さ・時間・距離のうち 2 つの比があれば、残り 1 つの比はいつでも作れる——この関係を持っておくと、条件がバラバラに見える問題でもつなげられます。
3 (3)
次郎君が太郎君に追いついたのは A 地点から何 m のところですか。
答え・解説を見る
ここまでで、2 人の速さと時刻がすべてそろいました。図に書きこんで整理します。
まず次郎君の BC 間の速さです。速さの比が AB:BC = 4:3 で、AB 間が分速 300m だったので、
太郎君の BC 間の速さは、(1) の比 10:9 から、
つぎに、どこで追いつきが始まるかを決めます。A 地点では太郎君が 10 分先に出ており、次郎君のほうが速いので差はどんどんちぢまりますが、次郎君が B 地点に着く 7 時 26 分の時点でまだ追いついていません。太郎君は 7 時 24 分に B 地点を通過し、そこから分速 180m で進んでいるからです。
つまり 7 時 26 分の時点で、次郎君は B 地点、太郎君はその 360m 先にいます。ここから先は 2 人とも BC 間の速さ(次郎 225m/分、太郎 180m/分)で進むので、いつもの追いつきの形になります。 追いつくまでの時間は
追いついた場所は、B 地点から次郎君が 8 分進んだところです。A 地点からの距離にするので、AB 間の 4800m を足します。 A 地点からの距離は
(答)6600m
KRONE ポイント
追いつきの式(差 ÷ 速さの差)そのものは基本です。この問題がむずかしいのは、その式を使い始めてよい地点と時刻を、自分で決めなければならないところにあります。2 人とも B で速さが変わるので、「B より前」と「B より後」では速さの差がちがいます。両方が BC 間の速さになる 7 時 26 分まで待ってから、そこでの差 360m を出発点にする——速さが変わる問題は、速さが変わらない区間に切ってから公式を使うのが鉄則です。
この問題から学ぶこと
大問 3 は、(1)(2)(3) が一本の線でつながっています。(1) では距離の比と時間から速さの比を作り、「1 分あたり 20m おそい」という差の条件で比を実数に変えました。(2) ではその実数(分速 200m)から AB 間の距離 4800m を求め、距離の比と速さの比から時間の比を作って、36 分を切り分けました。(3) では、そこまでで求めた 4 つの速さを使って追いつきを処理しました。前の問いの答えが次の問いの材料になる、典型的な積み上げ型です。
土台にあるのは、速さ・時間・距離は、2 つの比がわかれば残り 1 つの比が作れるという 1 つの関係だけです。(1) は距離の比と時間から速さの比を、(2) は距離の比と速さの比から時間の比を作りました。同じ関係を向きを変えて使っているだけで、覚える公式が増えたわけではありません。
つまずきやすいのは 2 か所です。1 つは (2) で「速さの比が 4:3 だから時間の比は 3:4」としてしまうこと。逆比が成り立つのは距離が同じときだけで、ここは AB と BC の距離がちがいます。もう 1 つは (3) で、A 地点からの 10 分の差をそのまま追いつきの式に入れてしまうこと。2 人とも B 地点で速さが変わるので、速さが一定の区間に入ってから式を立てる必要があります。
クローネ学園での指導
クローネ学園では、速さの問題を「追いつきの公式」「出会いの公式」と型で覚えさせるのではなく、図に書きこめる数を 1 つずつ増やしていくやり方で指導します。この問題なら、まず太郎君の 24 分・25 分を書き、距離の比 16:15 を書き、そこから速さの比が作れると気づく。書きこめる数が増えるたびに、次に何が求まるかが見えてきます。
考える力を育てる指導のポイント: 速さの問題で手が止まったら「いま図に書きこめる数は何?」と問いかけます。公式を思い出そうとするのではなく、持っている数を並べ直すと、速さ・時間・距離のどの 2 つがそろっているかが見え、残りの 1 つが自然に求まります。
速さの比の問題の解き方(まとめ)
- 距離の比と時間がわかれば、区間ごとに 距離 ÷ 時間 で速さの比が作れる
- 比を実際の m にするには、実数につながる条件(「1 分あたり 20m おそい」など)を差に対応させる
- 距離の比と速さの比がわかれば、距離 ÷ 速さ で時間の比が作れる
- 逆比が使えるのは距離が同じときだけ。距離がちがうなら必ず距離 ÷ 速さの形にもどす
- 途中で速さが変わる問題は、速さが一定の区間に切ってから追いつきの式を使う
同じ愛光中の2013年 大問2(比の文章題)・2010年 大問2(速さの比)・2013年 大問1後半の解説もあわせてご覧ください。
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本記事の文章・図版の著作権はクローネ学園に帰属します。無断転載・複製・二次利用を禁じます。(執筆:横田 耕祐)
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大問ごとの解説
FAQ
よくある質問
距離の比と時間がわかっているとき、速さの比はどう作りますか?
速さは距離÷時間なので、区間ごとに「距離÷時間」を作って比べます。この問題では太郎君のAB間が距離16・24分、BC間が距離15・25分なので、速さの比は(16÷24):(15÷25)で求まります。それぞれ通分して整数比に直すと10:9になります。距離を実際の長さで知らなくても、比のままで速さの比が作れるのがこの解き方の強みです。
速さの比から実際の分速を求めるには何が必要ですか?
比の1あたりが実際に何mにあたるかを教えてくれる条件が1つ必要です。この問題では「B地点から速さを1分あたり20mおそくした」とあり、速さの比10:9の差である1が20mにあたるとわかります。差に注目して1あたりの大きさを決めるのは、比の問題に共通する使い方です。
速さの比が4:3のとき、同じ距離にかかる時間の比はどうなりますか?
同じ距離なら、速さと時間は逆比の関係になります。ただし今回は区間の距離がちがうので、時間の比は距離÷速さで作ります。次郎君はAB間の距離16を速さ4で、BC間の距離15を速さ3で進むので、時間の比は(16÷4):(15÷3)=4:5です。距離が同じでないときに逆比だけで済ませると誤るので、必ず距離÷速さの形にもどして確かめます。
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