中1数学・1次方程式を等式の性質からわかりやすく攻略する
「移項のしくみがわからない」という中1生へ。1次方程式を、暗記ではなく等式の性質から理解し、移項・係数の処理・検算までをつまずきやすいポイントに絞ってわかりやすく解説します。
この記事でわかること
「移項すると符号が変わる、と習ったけれど、なぜそうなるのか分からない」という声を,中1生からよく聞きます。1次方程式は,正負の数・文字式に続いて習う単元で,ここから「答えを求める」数学が本格的に始まります。やり方だけを丸暗記すると,少し形が変わっただけで手が止まってしまいます。
逆に,等式の性質という土台から理解しておけば,移項も係数の処理も「同じ1つの考え方」で説明できるようになります。この記事では,次のことを解説します。
- 方程式と「等式の性質」の関係
- 移項が符号を変える本当の理由
- の係数( の前の数)の処理のしかた
- 答えを自分で確かめる検算のやり方
そして最後に,この1次方程式が中2の「連立方程式」へどうつながるかまで見通します。
1次方程式とは
方程式とは,まだわからない数 を含んだ等式のことです。
この式を成り立たせる を見つけることを,「方程式を解く」といいます。上の式なら です。 に4を入れると となり,たしかに左辺と右辺が等しくなります。
大切なのは,方程式は左辺と右辺がつり合った天びんだというイメージです。左の皿と右の皿が同じ重さでつり合っている。この「つり合い」をくずさないように だけを残していく——それが方程式を解くということです。
土台になる「等式の性質」
天びんのつり合いをくずさない操作は,次の4つです。これを等式の性質といいます。
等式の両辺に,同じ数を足してもつり合いは変わらない 等式の両辺から,同じ数を引いてもつり合いは変わらない 等式の両辺に,同じ数を掛けてもつり合いは変わらない 等式の両辺を,同じ数で割ってもつり合いは変わらない(0で割る場合を除く)
天びんで考えると当たり前です。両方の皿に同じおもりを足しても,両方から同じだけ取り去っても,つり合ったままです。1次方程式を解く操作は,すべてこの4つのどれかになっています。やっていることは,たったこれだけです。
移項のしくみ
移項とは「項を反対側へ移すと符号が変わる」という,あの操作です。多くの人がここを丸暗記しますが,本当は等式の性質を使っているだけです。
左辺の だけを残したいので,両辺から3を引きます(等式の性質)。
左辺は が消えて だけになり,右辺は です。
ここで,もとの式と結果を見比べてください。左辺にあった が,右辺では になって現れています。
この「両辺から3を引く」という1段を省略して,**「 を右へ移すと になる」**と呼んでいるだけなのです。だから移項で符号が変わるのは,両辺から同じ数を引いた(足した)結果にすぎません。しくみがわかれば,「なぜ符号が変わるんだっけ」と迷うことがなくなります。
移項=両辺に同じ数を足す・引く,を一気にやること。だから符号が反対になる。
の係数の処理
移項で の項だけを左に集めると,多くの場合 の前に数(係数)が残ります。
この を消すには,両辺を3で割ります(これも等式の性質)。
係数が分数のときも考え方は同じで,その逆数を両辺に掛けると速く解けます。たとえば なら,両辺に を掛けて です。
ここまでをまとめると,1次方程式を解く流れは次の2ステップです。
① 移項して の項を左・数を右に集める(等式の性質:足す・引く) ② 両辺を の係数で割る(等式の性質:割る)
新しいルールは何も増えていません。すべて等式の性質から出てきています。
練習問題でたしかめよう
次の方程式を,いきなり答えを書かず,移項の1段を必ずはさんで解いてみてください。移項のところでは「両辺から何を引いた(足した)のか」を意識すると,符号のミスが減ります。
解説
第1問 左辺の を右へ移項(両辺に5を足す)。
第2問 まず を移項(両辺から1を引く),次に係数2で両辺を割る。
第3問 の項を左に,数を右に集めます。右辺の を左へ(),左辺の を右へ()移項します。
第4問 を移項してから,係数 の逆数 を両辺に掛けます。
どの問題も,やったことは「移項(足す・引く)」と「係数で割る(掛ける)」の2種類だけです。
かならず検算をする
答えが出たら,それで終わりにせず,もとの式の に代入して確かめます。これを検算といいます。第3問()で確かめてみましょう。
左辺と右辺が同じ値になったので, は正解です。検算をする習慣をつけると,移項のときの符号ミスにその場で気づけます。テストでも,時間が余ったら必ず代入して確かめるクセをつけておくと,取りこぼしが大きく減ります。
連立方程式への橋わたし
ここまでの1次方程式は,わからない数が ひとつでした。では,わからない数が と のふたつになったらどうでしょう。
この式だけでは, かもしれないし, かもしれません。答えがひとつに決まりません。文字が2つあるのに式が1つしかないからです。
そこで,もう1つ条件(式)を加えます。
このように,2つの式を組にしたものを連立方程式といいます。中2で習うこの単元も,解くときに使う道具は等式の性質と移項——つまり,この記事で身につけたものとまったく同じです。2つの式をうまく足したり引いたりして文字を1つ消し,最後は1次方程式に持ち込んで解きます。
1次方程式(文字1つ)→ 連立方程式(文字2つ)。土台の「等式の性質」は変わらない。
だからこそ,1次方程式を「やり方の暗記」ではなく「等式の性質から」理解しておくことが大切なのです。ここがあいまいなまま連立方程式に進むと,計算量が増えた分だけミスも増えてしまいます。連立方程式の解き方は,中2・連立方程式の記事でくわしく解説します。
まとめ
| 操作 | 使っている等式の性質 |
|---|---|
| 移項(足す・引く) | 両辺に同じ数を足す/引く |
| 係数で割る | 両辺を同じ数で割る |
| 分数の係数を消す | 両辺に逆数を掛ける |
| 検算 | に代入して左辺=右辺を確認 |
1次方程式は,連立方程式・2次方程式・関数とその後すべての土台になる単元です。移項や係数の処理を「やり方」として丸暗記すると,少し形が変わっただけで止まってしまいます。等式の性質という1つの土台から理解しておけば,どんな方程式も同じ考え方で崩していけます。
クローネ学園が運営するクローネらぼの計算ドリルなら,登録不要・無料で1次方程式を毎日練習できます。1日5〜10問を目安に2週間続ければ,移項で迷わなくなり,手が止まらなくなります。
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本記事の文章・図版の著作権はクローネ学園に帰属します。無断転載・複製・二次利用を禁じます。(執筆:横田 耕祐)
FAQ
よくある質問
移項するとなぜ符号が変わるのですか?
移項は「両辺に同じ数を足す(引く)」という等式の性質を一気にやっているだけだからです。たとえば x+3=7 で両辺から3を引くと x=7−3 となり、左辺にあった +3 が右辺で −3 として現れます。これを省略して「項を反対側へ移すと符号が変わる」と呼んでいるだけなので、しくみがわかれば符号ミスは減ります。
x の係数(x の前の数)はどう処理すればいいですか?
両辺を係数で割ります。3x=12 なら両辺を3で割って x=4 です。これも「両辺を同じ数で割っても等式は成り立つ」という等式の性質です。係数が分数のときは、その逆数を両辺に掛けると速く解けます。
答えが合っているか自分で確かめる方法はありますか?
求めた値をもとの式の x に代入して、左辺と右辺が同じ値になるかを確かめます。これを検算といいます。x=4 が答えなら、もとの式に4を入れて両辺が等しくなれば正解です。検算の習慣をつけると、移項や符号のミスにその場で気づけます。
1次方程式はどのくらい練習すれば身につきますか?
1日5〜10問を目安に、2週間続ければ手が止まらなくなります。1次方程式は連立方程式・2次方程式・関数とその後すべての土台になるため、ここで「等式の性質から解く」習慣をつけておく価値があります。クローネ学園では無料の計算ドリルで毎日練習できます。
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