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01 この記事について 1. この記事でいちばん伝えたいこと 02 合成関数の微分:まず「全体×中身」を体にいれる 1. 確認演習1 03 三角・対数・指数の中に式が入るとき 1. 確認演習2 04 「y は x の関数」という見方 ── なぜそう言えるのか 1. 関数とは「x を入れると y が返ってくる装置」 2. 陰関数:式で書けていなくても「装置」はある 3. だから y² の微分は「全体×中身」になる 05 陰関数の微分:両辺を x で微分する 06 逆関数の微分:向きを変えて微分する 07 媒介変数の微分:t という「つなぎ役」 08 対数微分法:複雑な積・商・べきを log でほどく 09 この記事から学ぶこと 10 クローネ学園での指導 11 まとめ この記事について
数Ⅲの微分でいちばん使うのに,いちばんつまずきやすいのが合成関数の微分 です。x \sqrt{\phantom{x}} x の中や sin \sin sin ,log \log log ,e e e の中に式が入っているだけで手が止まる。逆関数・陰関数・媒介変数まで来ると,「d y d x \frac{dy}{dx} d x d y ってどう出すんだっけ」と混乱しがちです。
けれども,これらはすべてたった一つのリズム でつながっています。
合成関数の微分(この記事の背骨)
{ f ( g ( x ) ) } ′ = f ′ ( g ( x ) ) ⋅ g ′ ( x ) \{\,f(g(x))\,\}'=f'(g(x))\cdot g'(x) { f ( g ( x )) } ′ = f ′ ( g ( x )) ⋅ g ′ ( x ) 外側(全体 )を微分して,中身の微分をかける。
「全体を微分して,中身の微分をかける 」。この一言だけで,多項式・累乗根・三角・対数・指数の微分から,逆関数・陰関数・媒介変数,対数微分法までを一本で処理できます。この記事では,そのリズムを一つずつ体に入れていきます。
合成関数の微分の基本(多項式・累乗根・積や商との組み合わせ)
三角・対数・指数の中に式が入るとき
逆関数・陰関数・媒介変数 (ここで「y y y は x x x の関数」という見方が主役になります)
対数微分法(複雑な積・商・べきを log \log log でほどく)
各テーマのあとに確認演習をつけました。
この記事でいちばん伝えたいこと
とくに伝えたいのは,逆関数・陰関数でカギになる「y y y を x x x の関数とみる 」という見方の,その理由 です。「なぜ y y y を x x x の関数として微分してよいのか」——ここが腑に落ちると,y 2 y^2 y 2 を微分すると 2 y ⋅ d y d x 2y\cdot\frac{dy}{dx} 2 y ⋅ d x d y になる理由も,逆関数の d y d x = 1 d x / d y \frac{dy}{dx}=\frac{1}{dx/dy} d x d y = d x / d y 1 も,すべて合成関数の「全体×中身」の一言に戻ります。後半でじっくり説明します。
合成関数の微分:まず「全体×中身」を体にいれる
合成関数の微分
y = f ( g ( x ) ) ⟹ y ′ = f ′ ( g ( x ) ) ⋅ g ′ ( x ) y=f(g(x))\ \Longrightarrow\ y'=f'(g(x))\cdot g'(x) y = f ( g ( x )) ⟹ y ′ = f ′ ( g ( x )) ⋅ g ′ ( x )
やることは 2 つだけです。
中身(g ( x ) g(x) g ( x ) )をひとかたまりと思って,外側(全体)を微分 する
そこに中身の微分 をかける
まず多項式の例で。
y = ( 2 − 3 x 3 ) 5 y=(2-3x^3)^5 y = ( 2 − 3 x 3 ) 5
外側は ( ) 5 (\ )^5 ( ) 5 ,中身は 2 − 3 x 3 2-3x^3 2 − 3 x 3 です。全体を微分して 5 ( 2 − 3 x 3 ) 4 5(2-3x^3)^4 5 ( 2 − 3 x 3 ) 4 ,中身を微分して − 9 x 2 -9x^2 − 9 x 2 ,かけると,
y ′ = 5 ( 2 − 3 x 3 ) 4 ⏟ 全体の微分 × ( − 9 x 2 ) ⏟ 中身の微分 = − 45 x 2 ( 2 − 3 x 3 ) 4 \begin{aligned}
y'&=\underbrace{5(2-3x^3)^4}_{\text{全体の微分}}\times\underbrace{(-9x^2)}_{\text{中身の微分}}\\
&=-45x^2(2-3x^3)^4
\end{aligned} y ′ = 全体の微分 5 ( 2 − 3 x 3 ) 4 × 中身の微分 ( − 9 x 2 ) = − 45 x 2 ( 2 − 3 x 3 ) 4
次は累乗根 。数Ⅲでは x \sqrt{\phantom{x}} x を指数の形に直す のが鉄則です。
y = 2 4 − x 2 = 2 ( 4 − x 2 ) − 1 2 y=\frac{2}{\sqrt{4-x^2}}=2(4-x^2)^{-\frac12} y = 4 − x 2 2 = 2 ( 4 − x 2 ) − 2 1
外側 2 ( ) − 1 2 2(\ )^{-\frac12} 2 ( ) − 2 1 を微分して 2 ⋅ ( − 1 2 ) ( 4 − x 2 ) − 3 2 2\cdot\left(-\frac12\right)(4-x^2)^{-\frac32} 2 ⋅ ( − 2 1 ) ( 4 − x 2 ) − 2 3 ,中身 4 − x 2 4-x^2 4 − x 2 を微分して − 2 x -2x − 2 x 。かけて整理すると,
y ′ = 2 ⋅ ( − 1 2 ) ( 4 − x 2 ) − 3 2 × ( − 2 x ) = 2 x ( 4 − x 2 ) − 3 2 = 2 x ( 4 − x 2 ) 4 − x 2 \begin{aligned}
y'&=2\cdot\left(-\frac12\right)(4-x^2)^{-\frac32}\times(-2x)\\[4pt]
&=2x(4-x^2)^{-\frac32}\\[12pt]
&=\frac{2x}{(4-x^2)\sqrt{4-x^2}}
\end{aligned} y ′ = 2 ⋅ ( − 2 1 ) ( 4 − x 2 ) − 2 3 × ( − 2 x ) = 2 x ( 4 − x 2 ) − 2 3 = ( 4 − x 2 ) 4 − x 2 2 x
KRONE ポイント
x \sqrt{\phantom{x}} x や 1 \frac{1}{\ \ } 1 は,( ) 1 2 (\ )^{\frac12} ( ) 2 1 ・( ) − 1 (\ )^{-1} ( ) − 1 と指数に直してから 合成関数の微分にのせます。根号のまま商の微分で押すより,指数に直して「全体×中身」に一本化するほうがミスが減ります。
積や商とまざっても ,合成関数の部分だけを「全体×中身」で処理すればよいだけです。
y = ( x 2 − 4 ) 1 − x 2 y=(x^2-4)\sqrt{1-x^2} y = ( x 2 − 4 ) 1 − x 2
積の微分(前微分×後 + 前×後微分)で書き,後半の 1 − x 2 \sqrt{1-x^2} 1 − x 2 を合成関数として微分します。
y ′ = 2 x 1 − x 2 + ( x 2 − 4 ) ⋅ − x 1 − x 2 = 1 1 − x 2 { 2 x ( 1 − x 2 ) − ( x 2 − 4 ) x } = − 3 x 3 + 6 x 1 − x 2 \begin{aligned}
y'&=2x\sqrt{1-x^2}+(x^2-4)\cdot\frac{-x}{\sqrt{1-x^2}}\\[12pt]
&=\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}\bigl\{\,2x(1-x^2)-(x^2-4)x\,\bigr\}\\[12pt]
&=\frac{-3x^3+6x}{\sqrt{1-x^2}}
\end{aligned} y ′ = 2 x 1 − x 2 + ( x 2 − 4 ) ⋅ 1 − x 2 − x = 1 − x 2 1 { 2 x ( 1 − x 2 ) − ( x 2 − 4 ) x } = 1 − x 2 − 3 x 3 + 6 x
確認演習1
次の関数を微分しなさい。
(1)y = sin ( 3 x + 1 ) y=\sin(3x+1) y = sin ( 3 x + 1 ) (2)y = e 2 − 3 x y=e^{2-3x} y = e 2 − 3 x
答え・解説を見る どちらも「全体を微分して中身の微分をかける」だけです。
(1)外側 sin ( ) \sin(\ ) sin ( ) を微分して cos ( 3 x + 1 ) \cos(3x+1) cos ( 3 x + 1 ) ,中身 3 x + 1 3x+1 3 x + 1 を微分して 3 3 3 。
y ′ = cos ( 3 x + 1 ) × 3 = 3 cos ( 3 x + 1 ) y'=\cos(3x+1)\times 3=3\cos(3x+1) y ′ = cos ( 3 x + 1 ) × 3 = 3 cos ( 3 x + 1 ) (2)外側 e ( ) e^{(\ )} e ( ) を微分しても e ( ) e^{(\ )} e ( ) のまま,中身 2 − 3 x 2-3x 2 − 3 x を微分して − 3 -3 − 3 。
y ′ = e 2 − 3 x × ( − 3 ) = − 3 e 2 − 3 x y'=e^{2-3x}\times(-3)=-3e^{2-3x} y ′ = e 2 − 3 x × ( − 3 ) = − 3 e 2 − 3 x
三角・対数・指数の中に式が入るとき
素の導関数さえ覚えていれば,中身に式が入っても「中身の微分をかける」だけです。まず素の形を確認します。
覚えておく素の導関数
( sin x ) ′ = cos x ( cos x ) ′ = − sin x ( tan x ) ′ = 1 cos 2 x (\sin x)'=\cos x\qquad(\cos x)'=-\sin x\qquad(\tan x)'=\frac{1}{\cos^2 x} ( sin x ) ′ = cos x ( cos x ) ′ = − sin x ( tan x ) ′ = cos 2 x 1 ( log x ) ′ = 1 x ( e x ) ′ = e x ( a x ) ′ = a x log a (\log x)'=\frac1x\qquad(e^x)'=e^x\qquad(a^x)'=a^x\log a ( log x ) ′ = x 1 ( e x ) ′ = e x ( a x ) ′ = a x log a
三角関数の中に関数 が入る例。y = tan ( cos x ) y=\tan(\cos x) y = tan ( cos x ) は,外側 tan ( ) \tan(\ ) tan ( ) ,中身 cos x \cos x cos x です。
y ′ = 1 cos 2 ( cos x ) × ( − sin x ) = − sin x cos 2 ( cos x ) y'=\frac{1}{\cos^2(\cos x)}\times(-\sin x)=\frac{-\sin x}{\cos^2(\cos x)} y ′ = cos 2 ( cos x ) 1 × ( − sin x ) = cos 2 ( cos x ) − sin x
対数の中に式 が入る例。y = log ( x 2 + 1 ) y=\log(x^2+1) y = log ( x 2 + 1 ) は,( log x ) ′ = 1 x (\log x)'=\frac1x ( log x ) ′ = x 1 より,
y ′ = 1 x 2 + 1 × 2 x = 2 x x 2 + 1 y'=\frac{1}{x^2+1}\times 2x=\frac{2x}{x^2+1} y ′ = x 2 + 1 1 × 2 x = x 2 + 1 2 x
底が e e e でない対数は,底の変換で log \log log (自然対数)にそろえる と,あとは同じです。y = log 2 ∣ 3 x + 2 ∣ y=\log_2|3x+2| y = log 2 ∣3 x + 2∣ なら,
y = log ∣ 3 x + 2 ∣ log 2 ⟹ y ′ = 1 log 2 × 1 3 x + 2 × 3 = 3 ( 3 x + 2 ) log 2 y=\frac{\log|3x+2|}{\log 2}\ \Longrightarrow\ y'=\frac{1}{\log 2}\times\frac{1}{3x+2}\times 3=\frac{3}{(3x+2)\log 2} y = log 2 log ∣3 x + 2∣ ⟹ y ′ = log 2 1 × 3 x + 2 1 × 3 = ( 3 x + 2 ) log 2 3
指数の中に式 が入る例。y = 2 2 x + 1 y=2^{2x+1} y = 2 2 x + 1 は ( a x ) ′ = a x log a (a^x)'=a^x\log a ( a x ) ′ = a x log a に中身の微分をかけて,
y ′ = 2 2 x + 1 log 2 × 2 = 2 2 x + 2 log 2 y'=2^{2x+1}\log 2\times 2=2^{2x+2}\log 2 y ′ = 2 2 x + 1 log 2 × 2 = 2 2 x + 2 log 2
KRONE ポイント
sin \sin sin ・log \log log ・e e e ・a □ a^{\square} a □ ——外側の素の微分は覚えるしかありませんが,覚えるのはそこまで。中身に式が入った瞬間にやることは,いつも同じ「中身の微分をかける 」の一手だけです。log a \log_a log a は自然対数にそろえる,という一段だけ足せば,底が何でも同じ流れにのります。
確認演習2
次の関数を微分しなさい。
(1)y = log ( x 2 + 1 ) y=\log(x^2+1) y = log ( x 2 + 1 ) (2)y = e 2 x cos 3 x y=e^{2x}\cos 3x y = e 2 x cos 3 x
答え・解説を見る (1)( log x ) ′ = 1 x (\log x)'=\frac1x ( log x ) ′ = x 1 に中身 x 2 + 1 x^2+1 x 2 + 1 の微分 2 x 2x 2 x をかけて,
y ′ = 1 x 2 + 1 × 2 x = 2 x x 2 + 1 y'=\frac{1}{x^2+1}\times 2x=\frac{2x}{x^2+1} y ′ = x 2 + 1 1 × 2 x = x 2 + 1 2 x (2)積の微分です。e 2 x e^{2x} e 2 x は合成関数なので微分すると 2 e 2 x 2e^{2x} 2 e 2 x ,cos 3 x \cos 3x cos 3 x は微分すると − 3 sin 3 x -3\sin 3x − 3 sin 3 x 。
y ′ = 2 e 2 x cos 3 x + e 2 x ⋅ ( − 3 sin 3 x ) = e 2 x ( 2 cos 3 x − 3 sin 3 x ) \begin{aligned}
y'&=2e^{2x}\cos 3x+e^{2x}\cdot(-3\sin 3x)\\
&=e^{2x}(2\cos 3x-3\sin 3x)
\end{aligned} y ′ = 2 e 2 x cos 3 x + e 2 x ⋅ ( − 3 sin 3 x ) = e 2 x ( 2 cos 3 x − 3 sin 3 x )
「y y y は x x x の関数」という見方 ── なぜそう言えるのか
ここから,逆関数・陰関数・媒介変数に入ります。この 3 つに共通するカギが,
y y y を「x x x の関数」とみなす
という見方です。ところが,多くの人がここでつまずきます。「x 2 + y 2 = 4 x^2+y^2=4 x 2 + y 2 = 4 みたいな式で,どうして y y y を x x x の関数として微分していいの?」と。まずこの「なぜ 」を解決しておきます。
関数とは「x x x を入れると y y y が返ってくる装置」
そもそも関数とは,「x x x を 1 つ決めると,y y y が 1 つ決まる 」という対応のことでした。y = 2 x + 1 y=2x+1 y = 2 x + 1 なら,x = 3 x=3 x = 3 を入れると y = 7 y=7 y = 7 が返ってくる。この「入れると返ってくる装置がある」ことが関数の正体です。
ここで大事なのは,y = ( x の式 ) y=(x\text{の式}) y = ( x の式 ) の形で書けているかどうかは,関係ない ということです。式で書けていなくても,「x x x を決めれば y y y が決まる」という対応さえあれば,y y y は立派に x x x の関数です。
陰関数:式で書けていなくても「装置」はある
x 2 + y 2 = 4 x^2+y^2=4 x 2 + y 2 = 4 は,原点中心・半径 2 2 2 の円です。この式は y = ( x の式 ) y=(x\text{の式}) y = ( x の式 ) の形にはなっていません。でも,円の上半分だけ を見てください。x x x を 1 つ決めると,その上半分の y y y が 1 つ決まります。x = 0 x=0 x = 0 なら y = 2 y=2 y = 2 ,x = 1 x=1 x = 1 なら y = 3 y=\sqrt3 y = 3 ,というふうに。
つまり,y y y は「まだ x x x の式で書けていないだけ」で,x x x から定まる中身 を持っています。だから y y y を y ( x ) y(x) y ( x ) と書いてよく,x x x の関数として微分できる のです。「y = ( x の式 ) y=(x\text{の式}) y = ( x の式 ) に直せないと微分できない」わけではありません。装置があれば,それでいい。
だから y 2 y^2 y 2 の微分は「全体×中身」になる
y y y が「x x x の関数(中身)」だと認めた瞬間,y 2 y^2 y 2 は合成関数 になります。
全体 :( )2 ^2 2 という 2 乗
中身 :y y y (= x x x の関数)
合成関数の微分「全体を微分して中身の微分をかける」を,そのまま当てはめるだけです。
y の項を x で微分する
d d x ( y 2 ) = 2 y ⏟ 全体の微分 ⋅ d y d x ⏟ 中身 y の微分 \frac{d}{dx}\left(y^2\right)=\underbrace{2y}_{\text{全体の微分}}\cdot\underbrace{\frac{dy}{dx}}_{\text{中身 }y\text{ の微分}} d x d ( y 2 ) = 全体の微分 2 y ⋅ 中身 y の微分 d x d y
2 y 2y 2 y で止めてしまい,d y d x \frac{dy}{dx} d x d y をかけ忘れる——これが陰関数の微分で最も多いミスです。でも見方はシンプルで,y y y が中身の位置に来ただけの合成関数 。かけ忘れは「中身の微分を忘れた」だけなのです。
KRONE ポイント
「y y y を x x x の関数とみる」のに理由が要ります。それは,x x x を決めれば y y y が決まる対応(装置)が確かにあるから 。式で書けているかは無関係です。ここが腑に落ちれば,y y y の項を微分すると必ず d y d x \frac{dy}{dx} d x d y がくっついてくる理由も,合成関数の「中身の微分」そのものだと分かります。
陰関数の微分:両辺を x x x で微分する
見方が決まれば,あとは機械的です。f ( x , y ) = 0 f(x,y)=0 f ( x , y ) = 0 の形の式は,両辺をそのまま x x x で微分 し,y y y の項には合成関数の「中身の微分 d y d x \frac{dy}{dx} d x d y 」をつけ,最後に d y d x \frac{dy}{dx} d x d y について解きます。
( x − 1 ) 2 + y 2 = 4 (x-1)^2+y^2=4 ( x − 1 ) 2 + y 2 = 4
両辺を x x x で微分します。y 2 y^2 y 2 の微分が 2 y d y d x 2y\frac{dy}{dx} 2 y d x d y になるのがポイントです。
2 ( x − 1 ) + 2 y d y d x = 0 ⟹ d y d x = − x − 1 y ( ただし y ≠ 0 ) 2(x-1)+2y\frac{dy}{dx}=0\ \Longrightarrow\ \frac{dy}{dx}=-\frac{x-1}{y}\quad(\text{ただし }y\neq0) 2 ( x − 1 ) + 2 y d x d y = 0 ⟹ d x d y = − y x − 1 ( ただし y = 0 )
もう一つ,x y xy x y の項がある例。x y xy x y は積の微分 (x x x と y y y の積)で処理し,y y y を微分するところで d y d x \frac{dy}{dx} d x d y が出ます。
x 2 − 2 x y + 3 y 2 = 1 x^2-2xy+3y^2=1 x 2 − 2 x y + 3 y 2 = 1
2 x − 2 ( y + x d y d x ) + 6 y d y d x = 0 2 x − 2 y − 2 x d y d x + 6 y d y d x = 0 − 2 ( x − 3 y ) d y d x = − 2 ( x − y ) \begin{aligned}
2x-2\left(y+x\frac{dy}{dx}\right)+6y\frac{dy}{dx}&=0\\[14pt]
2x-2y-2x\frac{dy}{dx}+6y\frac{dy}{dx}&=0\\[14pt]
-2(x-3y)\frac{dy}{dx}&=-2(x-y)
\end{aligned} 2 x − 2 ( y + x d x d y ) + 6 y d x d y 2 x − 2 y − 2 x d x d y + 6 y d x d y − 2 ( x − 3 y ) d x d y = 0 = 0 = − 2 ( x − y )
∴ d y d x = x − y x − 3 y ( ただし x − 3 y ≠ 0 ) \therefore\ \frac{dy}{dx}=\frac{x-y}{x-3y}\quad(\text{ただし }x-3y\neq0) ∴ d x d y = x − 3 y x − y ( ただし x − 3 y = 0 )
KRONE ポイント
陰関数の微分は「両辺を x x x で微分 → y y y の項には d y d x \frac{dy}{dx} d x d y がつく → d y d x \frac{dy}{dx} d x d y について解く」の 3 ステップ。x y xy x y のような項は積の微分で開き,その中の y y y を微分する場所で d y d x \frac{dy}{dx} d x d y が生まれます。「y y y を触ったら d y d x \frac{dy}{dx} d x d y をかける 」と口に出しながら進めると,かけ忘れがなくなります。
逆関数の微分:向きを変えて微分する
逆関数の微分も,土台は同じ「y y y は x x x の関数」です。ただし,与えられた式が x = ( y の式 ) x=(y\text{の式}) x = ( y の式 ) の向き で書かれているとき,その向きのまま d x d y \frac{dx}{dy} d y d x を先に求め,逆数 をとって d y d x \frac{dy}{dx} d x d y にします。
逆関数の微分
d y d x = 1 d x d y ( d x d y ≠ 0 ) \frac{dy}{dx}=\frac{1}{\dfrac{dx}{dy}}\quad\left(\frac{dx}{dy}\neq0\right) d x d y = d y d x 1 ( d y d x = 0 )
なぜ逆数でよいのか。x x x を決めれば y y y が決まり,逆に y y y を決めれば x x x が決まる——同じ対応を逆向きに見ているだけなので,変化の割合 d y d x \frac{dy}{dx} d x d y と d x d y \frac{dx}{dy} d y d x はちょうど逆数 の関係になります。x = ( y の式 ) x=(y\text{の式}) x = ( y の式 ) の形なら d x d y \frac{dx}{dy} d y d x のほうが計算しやすいので,そちらを出して逆数にするわけです。
x = y 2 − 2 y x=y^2-2y x = y 2 − 2 y
y y y で微分すると d x d y = 2 y − 2 = 2 ( y − 1 ) \frac{dx}{dy}=2y-2=2(y-1) d y d x = 2 y − 2 = 2 ( y − 1 ) 。逆数をとって,
d y d x = 1 2 ( y − 1 ) ( ただし y ≠ 1 ) \frac{dy}{dx}=\frac{1}{2(y-1)}\quad(\text{ただし }y\neq1) d x d y = 2 ( y − 1 ) 1 ( ただし y = 1 )
y 2 = 3 x + 1 y^2=3x+1 y 2 = 3 x + 1 のように陰関数の形で来ても,x = 1 3 ( y 2 − 1 ) x=\frac13(y^2-1) x = 3 1 ( y 2 − 1 ) と向きを変えて d x d y \frac{dx}{dy} d y d x を出せば同じです。
d x d y = 2 3 y ⟹ d y d x = 1 2 3 y = 3 2 y ( ただし y ≠ 0 ) \frac{dx}{dy}=\frac{2}{3}y\ \Longrightarrow\ \frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{2}{3}y}=\frac{3}{2y}\quad(\text{ただし }y\neq0) d y d x = 3 2 y ⟹ d x d y = 3 2 y 1 = 2 y 3 ( ただし y = 0 )
KRONE ポイント
逆関数の微分は「易しいほうの向きで微分して,逆数をとる 」。d y d x \frac{dy}{dx} d x d y が出しにくくても,d x d y \frac{dx}{dy} d y d x なら一発,ということがよくあります。d y d x \frac{dy}{dx} d x d y と d x d y \frac{dx}{dy} d y d x が逆数なのは,同じ対応を逆から見ているだけだからです。
媒介変数の微分:t t t という「つなぎ役」
x x x も y y y も媒介変数 t t t で表されているときは,t t t をつなぎ役 にして微分をつなぎます。
媒介変数で表された関数の微分
d y d x = d y d t d x d t \frac{dy}{dx}=\frac{\dfrac{dy}{dt}}{\dfrac{dx}{dt}} d x d y = d t d x d t d y
y y y を t t t で微分したものを,x x x を t t t で微分したもので割るだけ。t t t を消去して x x x と y y y の式に直す必要はありません。
x = 1 − t 2 1 + t 2 , y = 2 t 1 + t 2 x=\frac{1-t^2}{1+t^2},\qquad y=\frac{2t}{1+t^2} x = 1 + t 2 1 − t 2 , y = 1 + t 2 2 t
それぞれ t t t で微分すると(商の微分),
d x d t = − 4 t ( 1 + t 2 ) 2 , d y d t = − 2 t 2 + 2 ( 1 + t 2 ) 2 = − 2 ( t + 1 ) ( t − 1 ) ( 1 + t 2 ) 2 \frac{dx}{dt}=\frac{-4t}{(1+t^2)^2},\qquad
\frac{dy}{dt}=\frac{-2t^2+2}{(1+t^2)^2}=\frac{-2(t+1)(t-1)}{(1+t^2)^2} d t d x = ( 1 + t 2 ) 2 − 4 t , d t d y = ( 1 + t 2 ) 2 − 2 t 2 + 2 = ( 1 + t 2 ) 2 − 2 ( t + 1 ) ( t − 1 )
割ると,( 1 + t 2 ) 2 (1+t^2)^2 ( 1 + t 2 ) 2 が消えて,
d y d x = − 2 ( t + 1 ) ( t − 1 ) − 4 t = ( t + 1 ) ( t − 1 ) 2 t ( ただし t ≠ 0 ) \frac{dy}{dx}=\frac{-2(t+1)(t-1)}{-4t}=\frac{(t+1)(t-1)}{2t}\quad(\text{ただし }t\neq0) d x d y = − 4 t − 2 ( t + 1 ) ( t − 1 ) = 2 t ( t + 1 ) ( t − 1 ) ( ただし t = 0 )
x \sqrt{\phantom{x}} x を含む例も同じです。x = 1 + t 2 , y = 3 t 2 x=\sqrt{1+t^2},\ y=3t^2 x = 1 + t 2 , y = 3 t 2 なら d x d t = t 1 + t 2 \frac{dx}{dt}=\frac{t}{\sqrt{1+t^2}} d t d x = 1 + t 2 t ,d y d t = 6 t \frac{dy}{dt}=6t d t d y = 6 t で,
d y d x = 6 t t 1 + t 2 = 6 1 + t 2 \frac{dy}{dx}=\frac{6t}{\dfrac{t}{\sqrt{1+t^2}}}=6\sqrt{1+t^2} d x d y = 1 + t 2 t 6 t = 6 1 + t 2
KRONE ポイント
媒介変数の微分は,t t t という共通の橋を経由するだけ。t t t で微分して割る ——それで t t t を消さずに d y d x \frac{dy}{dx} d x d y が出ます。ここでも「y y y も x x x も t t t の関数」という見方が土台で,逆関数・陰関数と同じ発想の仲間です。
対数微分法:複雑な積・商・べきを log \log log でほどく
最後に,合成関数の見方が最も効く場面を一つ。積・商・累乗根が入り組んだ式 は,先に両辺の対数 をとってから微分すると,一気にほどけます。
y = 2 x + 1 x ( x − 2 ) 2 3 y=\sqrt[3]{\frac{2x+1}{x(x-2)^2}} y = 3 x ( x − 2 ) 2 2 x + 1
このまま商と累乗根で微分するのは大変です。両辺の(絶対値の)対数をとり,log \log log の性質で積・商・べきを足し算・引き算 にばらします。
log ∣ y ∣ = 1 3 ( log ∣ 2 x + 1 ∣ − log ∣ x ∣ − 2 log ∣ x − 2 ∣ ) \log|y|=\frac13\Bigl(\log|2x+1|-\log|x|-2\log|x-2|\Bigr) log ∣ y ∣ = 3 1 ( log ∣2 x + 1∣ − log ∣ x ∣ − 2 log ∣ x − 2∣ )
両辺を x x x で微分します。ここが山場で,左辺 log ∣ y ∣ \log|y| log ∣ y ∣ は y y y が中身の合成関数 なので,1 y ⋅ d y d x \frac{1}{y}\cdot\frac{dy}{dx} y 1 ⋅ d x d y になります(また「中身の微分」が出てきました)。
1 y ⋅ y ′ = 1 3 ( 2 2 x + 1 − 1 x − 2 x − 2 ) \frac{1}{y}\cdot y'=\frac13\left(\frac{2}{2x+1}-\frac1x-\frac{2}{x-2}\right) y 1 ⋅ y ′ = 3 1 ( 2 x + 1 2 − x 1 − x − 2 2 )
右辺を通分して整理し,最後に y y y を戻すと,
y ′ = − 4 x 3 + 3 x − 2 3 x ( x − 2 ) x ( x − 2 ) 2 ( 2 x + 1 ) 3 y'=-\frac{4x^3+3x-2}{3x(x-2)\sqrt[3]{x(x-2)^2(2x+1)}} y ′ = − 3 x ( x − 2 ) 3 x ( x − 2 ) 2 ( 2 x + 1 ) 4 x 3 + 3 x − 2
KRONE ポイント
対数微分法の核心は,log ∣ y ∣ \log|y| log ∣ y ∣ を微分すると 1 y ⋅ d y d x \frac{1}{y}\cdot\frac{dy}{dx} y 1 ⋅ d x d y になる——ここもまた「y y y は x x x の関数」+「合成関数の中身の微分」です。積・商・べきを log \log log で足し引きにばらしてから微分すれば,複雑な式ほど効果が大きく出ます。
この記事から学ぶこと
一本の背骨は,最初に置いた「全体を微分して,中身の微分をかける 」だけでした。
場面 何を「中身」とみるか かけ忘れやすいもの \sqrt{\ } ・sin \sin sin ・log \log log ・e e e の中に式中身の式 中身の微分 陰関数(y y y の項) y y y (= x x x の関数)d y d x \frac{dy}{dx} d x d y 逆関数 y y y を変数にして x x x を微分逆数にすること 媒介変数 x , y x,y x , y ともに t t t の関数d x d t \frac{dx}{dt} d t d x で割ること対数微分法($\log y $)
逆関数・陰関数・対数微分法で「中身」の位置に来るのは,いつも y y y です。そして y y y を x x x の関数とみてよい理由は,「x x x を決めれば y y y が決まる」対応(装置)があるから でした。式で書けているかどうかは関係ありません。この一点さえ押さえれば,y y y を触るたびに d y d x \frac{dy}{dx} d x d y がくっついてくる理由が,合成関数の「中身の微分」そのものだと見えてきます。
クローネ学園での指導
クローネ学園では,数Ⅲの微分を「公式の数だけ暗記」させません。合成関数の微分(全体×中身)を背骨に据え,逆関数・陰関数・媒介変数・対数微分法をその応用として一本につなぎます 。とくに,受験生がいちばん落とす「陰関数で d y d x \frac{dy}{dx} d x d y をかけ忘れる」ミスは,y y y を x x x の関数とみる理由 が曖昧なまま公式だけ覚えているのが原因です。クローネ学園では,この「なぜ」を最初に解決してから演習に入るので,はじめて見る形でも自分で立式できるようになります。
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まとめ
合成関数の微分は「全体を微分して,中身の微分をかける 」の一手
根号や分数は指数の形に直して から微分する
三角・対数・指数は素の導関数を覚え,中身の微分をかける
log a \log_a log a は自然対数にそろえる と同じ流れにのる
逆関数・陰関数・媒介変数に共通するのは「y y y を x x x の関数とみる 」こと
なぜみてよいか=「x x x を決めれば y y y が決まる対応がある」から(式で書けていなくてよい)
だから y y y の項を微分すると d y d x \frac{dy}{dx} d x d y がつく=合成関数の「中身の微分」
逆関数は逆数 をとり,媒介変数は t t t で割る (d y d x = d y / d t d x / d t \frac{dy}{dx}=\frac{dy/dt}{dx/dt} d x d y = d x / d t d y / d t )。対数微分法は log ∣ y ∣ \log|y| log ∣ y ∣ を微分して 1 y ⋅ d y d x \frac1y\cdot\frac{dy}{dx} y 1 ⋅ d x d y
微分の公式全体を一望したい人は,数Ⅲ微分公式の総まとめ もあわせてどうぞ。