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【数Ⅲ】合成関数の微分を「全体×中身」で解く|逆関数・陰関数・媒介変数まで一本で

高校数学Ⅲの合成関数の微分を「全体を微分して中身の微分をかける」という一つのリズムで解説します。多項式・累乗根・三角・対数・指数の微分から、逆関数・陰関数・媒介変数、対数微分法まで、すべてを合成関数の見方でつなげます。とくに逆関数・陰関数で「なぜ y を x の関数とみてよいのか」を根本から説明。高松市の学習塾クローネ学園が大学受験を支えます。

この記事について

数Ⅲの微分でいちばん使うのに,いちばんつまずきやすいのが合成関数の微分です。x\sqrt{\phantom{x}} の中や sin\sinlog\logee の中に式が入っているだけで手が止まる。逆関数・陰関数・媒介変数まで来ると,「dydx\frac{dy}{dx} ってどう出すんだっけ」と混乱しがちです。

けれども,これらはすべてたった一つのリズムでつながっています。

合成関数の微分(この記事の背骨)

{f(g(x))}=f(g(x))g(x)\{\,f(g(x))\,\}'=f'(g(x))\cdot g'(x)

外側(全体)を微分して,中身の微分をかける。

全体を微分して,中身の微分をかける」。この一言だけで,多項式・累乗根・三角・対数・指数の微分から,逆関数・陰関数・媒介変数,対数微分法までを一本で処理できます。この記事では,そのリズムを一つずつ体に入れていきます。

  • 合成関数の微分の基本(多項式・累乗根・積や商との組み合わせ)
  • 三角・対数・指数の中に式が入るとき
  • 逆関数・陰関数・媒介変数(ここで「yyxx の関数」という見方が主役になります)
  • 対数微分法(複雑な積・商・べきを log\log でほどく)

各テーマのあとに確認演習をつけました。

この記事でいちばん伝えたいこと

とくに伝えたいのは,逆関数・陰関数でカギになる「yyxx の関数とみる」という見方の,その理由です。「なぜ yyxx の関数として微分してよいのか」——ここが腑に落ちると,y2y^2 を微分すると 2ydydx2y\cdot\frac{dy}{dx} になる理由も,逆関数の dydx=1dx/dy\frac{dy}{dx}=\frac{1}{dx/dy} も,すべて合成関数の「全体×中身」の一言に戻ります。後半でじっくり説明します。


合成関数の微分:まず「全体×中身」を体にいれる

合成関数の微分

y=f(g(x))  y=f(g(x))g(x)y=f(g(x))\ \Longrightarrow\ y'=f'(g(x))\cdot g'(x)

やることは 2 つだけです。

  1. 中身(g(x)g(x))をひとかたまりと思って,外側(全体)を微分する
  2. そこに中身の微分をかける

まず多項式の例で。

y=(23x3)5y=(2-3x^3)^5

外側は ( )5(\ )^5,中身は 23x32-3x^3 です。全体を微分して 5(23x3)45(2-3x^3)^4,中身を微分して 9x2-9x^2,かけると,

y=5(23x3)4全体の微分×(9x2)中身の微分=45x2(23x3)4\begin{aligned} y'&=\underbrace{5(2-3x^3)^4}_{\text{全体の微分}}\times\underbrace{(-9x^2)}_{\text{中身の微分}}\\ &=-45x^2(2-3x^3)^4 \end{aligned}

次は累乗根。数Ⅲでは x\sqrt{\phantom{x}}指数の形に直すのが鉄則です。

y=24x2=2(4x2)12y=\frac{2}{\sqrt{4-x^2}}=2(4-x^2)^{-\frac12}

外側 2( )122(\ )^{-\frac12} を微分して 2(12)(4x2)322\cdot\left(-\frac12\right)(4-x^2)^{-\frac32},中身 4x24-x^2 を微分して 2x-2x。かけて整理すると,

y=2(12)(4x2)32×(2x)=2x(4x2)32=2x(4x2)4x2\begin{aligned} y'&=2\cdot\left(-\frac12\right)(4-x^2)^{-\frac32}\times(-2x)\\[4pt] &=2x(4-x^2)^{-\frac32}\\[12pt] &=\frac{2x}{(4-x^2)\sqrt{4-x^2}} \end{aligned}

KRONE ポイント

x\sqrt{\phantom{x}}1  \frac{1}{\ \ } は,( )12(\ )^{\frac12}( )1(\ )^{-1}指数に直してから合成関数の微分にのせます。根号のまま商の微分で押すより,指数に直して「全体×中身」に一本化するほうがミスが減ります。

積や商とまざっても,合成関数の部分だけを「全体×中身」で処理すればよいだけです。

y=(x24)1x2y=(x^2-4)\sqrt{1-x^2}

積の微分(前微分×後 + 前×後微分)で書き,後半の 1x2\sqrt{1-x^2} を合成関数として微分します。

y=2x1x2+(x24)x1x2=11x2{2x(1x2)(x24)x}=3x3+6x1x2\begin{aligned} y'&=2x\sqrt{1-x^2}+(x^2-4)\cdot\frac{-x}{\sqrt{1-x^2}}\\[12pt] &=\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}\bigl\{\,2x(1-x^2)-(x^2-4)x\,\bigr\}\\[12pt] &=\frac{-3x^3+6x}{\sqrt{1-x^2}} \end{aligned}

確認演習1

次の関数を微分しなさい。

  • (1)y=sin(3x+1)y=\sin(3x+1)
  • (2)y=e23xy=e^{2-3x}
答え・解説を見る

どちらも「全体を微分して中身の微分をかける」だけです。

(1)外側 sin( )\sin(\ ) を微分して cos(3x+1)\cos(3x+1),中身 3x+13x+1 を微分して 33

y=cos(3x+1)×3=3cos(3x+1)y'=\cos(3x+1)\times 3=3\cos(3x+1)

(2)外側 e( )e^{(\ )} を微分しても e( )e^{(\ )} のまま,中身 23x2-3x を微分して 3-3

y=e23x×(3)=3e23xy'=e^{2-3x}\times(-3)=-3e^{2-3x}

三角・対数・指数の中に式が入るとき

素の導関数さえ覚えていれば,中身に式が入っても「中身の微分をかける」だけです。まず素の形を確認します。

覚えておく素の導関数

(sinx)=cosx(cosx)=sinx(tanx)=1cos2x(\sin x)'=\cos x\qquad(\cos x)'=-\sin x\qquad(\tan x)'=\frac{1}{\cos^2 x}(logx)=1x(ex)=ex(ax)=axloga(\log x)'=\frac1x\qquad(e^x)'=e^x\qquad(a^x)'=a^x\log a

三角関数の中に関数が入る例。y=tan(cosx)y=\tan(\cos x) は,外側 tan( )\tan(\ ),中身 cosx\cos x です。

y=1cos2(cosx)×(sinx)=sinxcos2(cosx)y'=\frac{1}{\cos^2(\cos x)}\times(-\sin x)=\frac{-\sin x}{\cos^2(\cos x)}

対数の中に式が入る例。y=log(x2+1)y=\log(x^2+1) は,(logx)=1x(\log x)'=\frac1x より,

y=1x2+1×2x=2xx2+1y'=\frac{1}{x^2+1}\times 2x=\frac{2x}{x^2+1}

底が ee でない対数は,底の変換で log\log(自然対数)にそろえると,あとは同じです。y=log23x+2y=\log_2|3x+2| なら,

y=log3x+2log2  y=1log2×13x+2×3=3(3x+2)log2y=\frac{\log|3x+2|}{\log 2}\ \Longrightarrow\ y'=\frac{1}{\log 2}\times\frac{1}{3x+2}\times 3=\frac{3}{(3x+2)\log 2}

指数の中に式が入る例。y=22x+1y=2^{2x+1}(ax)=axloga(a^x)'=a^x\log a に中身の微分をかけて,

y=22x+1log2×2=22x+2log2y'=2^{2x+1}\log 2\times 2=2^{2x+2}\log 2

KRONE ポイント

sin\sinlog\logeeaa^{\square} ——外側の素の微分は覚えるしかありませんが,覚えるのはそこまで。中身に式が入った瞬間にやることは,いつも同じ「中身の微分をかける」の一手だけです。loga\log_a は自然対数にそろえる,という一段だけ足せば,底が何でも同じ流れにのります。

確認演習2

次の関数を微分しなさい。

  • (1)y=log(x2+1)y=\log(x^2+1)
  • (2)y=e2xcos3xy=e^{2x}\cos 3x
答え・解説を見る

(1)(logx)=1x(\log x)'=\frac1x に中身 x2+1x^2+1 の微分 2x2x をかけて,

y=1x2+1×2x=2xx2+1y'=\frac{1}{x^2+1}\times 2x=\frac{2x}{x^2+1}

(2)積の微分です。e2xe^{2x} は合成関数なので微分すると 2e2x2e^{2x}cos3x\cos 3x は微分すると 3sin3x-3\sin 3x

y=2e2xcos3x+e2x(3sin3x)=e2x(2cos3x3sin3x)\begin{aligned} y'&=2e^{2x}\cos 3x+e^{2x}\cdot(-3\sin 3x)\\ &=e^{2x}(2\cos 3x-3\sin 3x) \end{aligned}

yyxx の関数」という見方 ── なぜそう言えるのか

ここから,逆関数・陰関数・媒介変数に入ります。この 3 つに共通するカギが,

yy を「xx の関数」とみなす

という見方です。ところが,多くの人がここでつまずきます。「x2+y2=4x^2+y^2=4 みたいな式で,どうして yyxx の関数として微分していいの?」と。まずこの「なぜ」を解決しておきます。

関数とは「xx を入れると yy が返ってくる装置」

そもそも関数とは,「xx を 1 つ決めると,yy が 1 つ決まる」という対応のことでした。y=2x+1y=2x+1 なら,x=3x=3 を入れると y=7y=7 が返ってくる。この「入れると返ってくる装置がある」ことが関数の正体です。

ここで大事なのは,y=(xの式)y=(x\text{の式}) の形で書けているかどうかは,関係ないということです。式で書けていなくても,「xx を決めれば yy が決まる」という対応さえあれば,yy は立派に xx の関数です。

陰関数:式で書けていなくても「装置」はある

x2+y2=4x^2+y^2=4 は,原点中心・半径 22 の円です。この式は y=(xの式)y=(x\text{の式}) の形にはなっていません。でも,円の上半分だけを見てください。xx を 1 つ決めると,その上半分の yy が 1 つ決まります。x=0x=0 なら y=2y=2x=1x=1 なら y=3y=\sqrt3,というふうに。

高松市の学習塾クローネ学園 円x²+y²=4の上半分で、xを1つ決めるとyが1つ決まる様子を示した図。yは式で書けていなくてもxの関数であることを表す

つまり,yy は「まだ xx の式で書けていないだけ」で,xx から定まる中身を持っています。だから yyy(x)y(x) と書いてよく,xx の関数として微分できるのです。「y=(xの式)y=(x\text{の式}) に直せないと微分できない」わけではありません。装置があれば,それでいい。

だから y2y^2 の微分は「全体×中身」になる

yy が「xx の関数(中身)」だと認めた瞬間,y2y^2合成関数になります。

  • 全体:( )2^2 という 2 乗
  • 中身yy(= xx の関数)

合成関数の微分「全体を微分して中身の微分をかける」を,そのまま当てはめるだけです。

y の項を x で微分する

ddx(y2)=2y全体の微分dydx中身 y の微分\frac{d}{dx}\left(y^2\right)=\underbrace{2y}_{\text{全体の微分}}\cdot\underbrace{\frac{dy}{dx}}_{\text{中身 }y\text{ の微分}}

2y2y で止めてしまい,dydx\frac{dy}{dx} をかけ忘れる——これが陰関数の微分で最も多いミスです。でも見方はシンプルで,yy が中身の位置に来ただけの合成関数。かけ忘れは「中身の微分を忘れた」だけなのです。

KRONE ポイント

yyxx の関数とみる」のに理由が要ります。それは,xx を決めれば yy が決まる対応(装置)が確かにあるから。式で書けているかは無関係です。ここが腑に落ちれば,yy の項を微分すると必ず dydx\frac{dy}{dx} がくっついてくる理由も,合成関数の「中身の微分」そのものだと分かります。


陰関数の微分:両辺を xx で微分する

見方が決まれば,あとは機械的です。f(x,y)=0f(x,y)=0 の形の式は,両辺をそのまま xx で微分し,yy の項には合成関数の「中身の微分 dydx\frac{dy}{dx}」をつけ,最後に dydx\frac{dy}{dx} について解きます。

(x1)2+y2=4(x-1)^2+y^2=4

両辺を xx で微分します。y2y^2 の微分が 2ydydx2y\frac{dy}{dx} になるのがポイントです。

2(x1)+2ydydx=0  dydx=x1y(ただし y0)2(x-1)+2y\frac{dy}{dx}=0\ \Longrightarrow\ \frac{dy}{dx}=-\frac{x-1}{y}\quad(\text{ただし }y\neq0)

もう一つ,xyxy の項がある例。xyxy積の微分xxyy の積)で処理し,yy を微分するところで dydx\frac{dy}{dx} が出ます。

x22xy+3y2=1x^2-2xy+3y^2=1 2x2(y+xdydx)+6ydydx=02x2y2xdydx+6ydydx=02(x3y)dydx=2(xy)\begin{aligned} 2x-2\left(y+x\frac{dy}{dx}\right)+6y\frac{dy}{dx}&=0\\[14pt] 2x-2y-2x\frac{dy}{dx}+6y\frac{dy}{dx}&=0\\[14pt] -2(x-3y)\frac{dy}{dx}&=-2(x-y) \end{aligned}  dydx=xyx3y(ただし x3y0)\therefore\ \frac{dy}{dx}=\frac{x-y}{x-3y}\quad(\text{ただし }x-3y\neq0)

KRONE ポイント

陰関数の微分は「両辺を xx で微分 → yy の項には dydx\frac{dy}{dx} がつく → dydx\frac{dy}{dx} について解く」の 3 ステップ。xyxy のような項は積の微分で開き,その中の yy を微分する場所で dydx\frac{dy}{dx} が生まれます。「yy を触ったら dydx\frac{dy}{dx} をかける」と口に出しながら進めると,かけ忘れがなくなります。


逆関数の微分:向きを変えて微分する

逆関数の微分も,土台は同じ「yyxx の関数」です。ただし,与えられた式が x=(yの式)x=(y\text{の式})向きで書かれているとき,その向きのまま dxdy\frac{dx}{dy} を先に求め,逆数をとって dydx\frac{dy}{dx} にします。

逆関数の微分

dydx=1dxdy(dxdy0)\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\dfrac{dx}{dy}}\quad\left(\frac{dx}{dy}\neq0\right)

なぜ逆数でよいのか。xx を決めれば yy が決まり,逆に yy を決めれば xx が決まる——同じ対応を逆向きに見ているだけなので,変化の割合 dydx\frac{dy}{dx}dxdy\frac{dx}{dy} はちょうど逆数の関係になります。x=(yの式)x=(y\text{の式}) の形なら dxdy\frac{dx}{dy} のほうが計算しやすいので,そちらを出して逆数にするわけです。

x=y22yx=y^2-2y

yy で微分すると dxdy=2y2=2(y1)\frac{dx}{dy}=2y-2=2(y-1)。逆数をとって,

dydx=12(y1)(ただし y1)\frac{dy}{dx}=\frac{1}{2(y-1)}\quad(\text{ただし }y\neq1)

y2=3x+1y^2=3x+1 のように陰関数の形で来ても,x=13(y21)x=\frac13(y^2-1)向きを変えて dxdy\frac{dx}{dy} を出せば同じです。

dxdy=23y  dydx=123y=32y(ただし y0)\frac{dx}{dy}=\frac{2}{3}y\ \Longrightarrow\ \frac{dy}{dx}=\frac{1}{\frac{2}{3}y}=\frac{3}{2y}\quad(\text{ただし }y\neq0)

KRONE ポイント

逆関数の微分は「易しいほうの向きで微分して,逆数をとる」。dydx\frac{dy}{dx} が出しにくくても,dxdy\frac{dx}{dy} なら一発,ということがよくあります。dydx\frac{dy}{dx}dxdy\frac{dx}{dy} が逆数なのは,同じ対応を逆から見ているだけだからです。


媒介変数の微分:tt という「つなぎ役」

xxyy も媒介変数 tt で表されているときは,ttつなぎ役にして微分をつなぎます。

媒介変数で表された関数の微分

dydx=dydtdxdt\frac{dy}{dx}=\frac{\dfrac{dy}{dt}}{\dfrac{dx}{dt}}

yytt で微分したものを,xxtt で微分したもので割るだけ。tt を消去して xxyy の式に直す必要はありません。

x=1t21+t2,y=2t1+t2x=\frac{1-t^2}{1+t^2},\qquad y=\frac{2t}{1+t^2}

それぞれ tt で微分すると(商の微分),

dxdt=4t(1+t2)2,dydt=2t2+2(1+t2)2=2(t+1)(t1)(1+t2)2\frac{dx}{dt}=\frac{-4t}{(1+t^2)^2},\qquad \frac{dy}{dt}=\frac{-2t^2+2}{(1+t^2)^2}=\frac{-2(t+1)(t-1)}{(1+t^2)^2}

割ると,(1+t2)2(1+t^2)^2 が消えて,

dydx=2(t+1)(t1)4t=(t+1)(t1)2t(ただし t0)\frac{dy}{dx}=\frac{-2(t+1)(t-1)}{-4t}=\frac{(t+1)(t-1)}{2t}\quad(\text{ただし }t\neq0)

x\sqrt{\phantom{x}} を含む例も同じです。x=1+t2, y=3t2x=\sqrt{1+t^2},\ y=3t^2 なら dxdt=t1+t2\frac{dx}{dt}=\frac{t}{\sqrt{1+t^2}}dydt=6t\frac{dy}{dt}=6t で,

dydx=6tt1+t2=61+t2\frac{dy}{dx}=\frac{6t}{\dfrac{t}{\sqrt{1+t^2}}}=6\sqrt{1+t^2}

KRONE ポイント

媒介変数の微分は,tt という共通の橋を経由するだけ。tt で微分して割る——それで tt を消さずに dydx\frac{dy}{dx} が出ます。ここでも「yyxxtt の関数」という見方が土台で,逆関数・陰関数と同じ発想の仲間です。


対数微分法:複雑な積・商・べきを log\log でほどく

最後に,合成関数の見方が最も効く場面を一つ。積・商・累乗根が入り組んだ式は,先に両辺の対数をとってから微分すると,一気にほどけます。

y=2x+1x(x2)23y=\sqrt[3]{\frac{2x+1}{x(x-2)^2}}

このまま商と累乗根で微分するのは大変です。両辺の(絶対値の)対数をとり,log\log の性質で積・商・べきを足し算・引き算にばらします。

logy=13(log2x+1logx2logx2)\log|y|=\frac13\Bigl(\log|2x+1|-\log|x|-2\log|x-2|\Bigr)

両辺を xx で微分します。ここが山場で,左辺 logy\log|y|yy が中身の合成関数なので,1ydydx\frac{1}{y}\cdot\frac{dy}{dx} になります(また「中身の微分」が出てきました)。

1yy=13(22x+11x2x2)\frac{1}{y}\cdot y'=\frac13\left(\frac{2}{2x+1}-\frac1x-\frac{2}{x-2}\right)

右辺を通分して整理し,最後に yy を戻すと,

y=4x3+3x23x(x2)x(x2)2(2x+1)3y'=-\frac{4x^3+3x-2}{3x(x-2)\sqrt[3]{x(x-2)^2(2x+1)}}

KRONE ポイント

対数微分法の核心は,logy\log|y| を微分すると 1ydydx\frac{1}{y}\cdot\frac{dy}{dx} になる——ここもまた「yyxx の関数」+「合成関数の中身の微分」です。積・商・べきを log\log で足し引きにばらしてから微分すれば,複雑な式ほど効果が大きく出ます。


この記事から学ぶこと

一本の背骨は,最初に置いた「全体を微分して,中身の微分をかける」だけでした。

場面何を「中身」とみるかかけ忘れやすいもの
 \sqrt{\ }sin\sinlog\logee の中に式中身の式中身の微分
陰関数(yy の項)yy(= xx の関数)dydx\frac{dy}{dx}
逆関数yy を変数にして xx を微分逆数にすること
媒介変数x,yx,y ともに tt の関数dxdt\frac{dx}{dt} で割ること
対数微分法($\logy$)

逆関数・陰関数・対数微分法で「中身」の位置に来るのは,いつも yy です。そして yyxx の関数とみてよい理由は,xx を決めれば yy が決まる」対応(装置)があるからでした。式で書けているかどうかは関係ありません。この一点さえ押さえれば,yy を触るたびに dydx\frac{dy}{dx} がくっついてくる理由が,合成関数の「中身の微分」そのものだと見えてきます。


クローネ学園での指導

クローネ学園では,数Ⅲの微分を「公式の数だけ暗記」させません。合成関数の微分(全体×中身)を背骨に据え,逆関数・陰関数・媒介変数・対数微分法をその応用として一本につなぎます。とくに,受験生がいちばん落とす「陰関数で dydx\frac{dy}{dx} をかけ忘れる」ミスは,yyxx の関数とみる理由が曖昧なまま公式だけ覚えているのが原因です。クローネ学園では,この「なぜ」を最初に解決してから演習に入るので,はじめて見る形でも自分で立式できるようになります。

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まとめ

  • 合成関数の微分は「全体を微分して,中身の微分をかける」の一手
  • 根号や分数は指数の形に直してから微分する
  • 三角・対数・指数は素の導関数を覚え,中身の微分をかける
  • loga\log_a自然対数にそろえると同じ流れにのる
  • 逆関数・陰関数・媒介変数に共通するのは「yyxx の関数とみる」こと
  • なぜみてよいか=「xx を決めれば yy が決まる対応がある」から(式で書けていなくてよい)
  • だから yy の項を微分すると dydx\frac{dy}{dx} がつく=合成関数の「中身の微分」
  • 逆関数は逆数をとり,媒介変数は tt で割るdydx=dy/dtdx/dt\frac{dy}{dx}=\frac{dy/dt}{dx/dt})。対数微分法は logy\log|y| を微分して 1ydydx\frac1y\cdot\frac{dy}{dx}

微分の公式全体を一望したい人は,数Ⅲ微分公式の総まとめもあわせてどうぞ。

本記事の文章・図版の著作権はクローネ学園に帰属します。無断転載・複製・二次利用を禁じます。(執筆:横田 耕祐)

FAQ

よくある質問

合成関数の微分のやり方を一言で言うと?

「全体を微分して、中身の微分をかける」の2ステップです。たとえば y=(2-3x³)⁵ なら、外側の( )⁵を微分して 5(2-3x³)⁴、中身の 2-3x³ を微分して -9x²、この2つをかけて y′=5(2-3x³)⁴×(-9x²)=-45x²(2-3x³)⁴ です。√・sin・log・eの中身に式が入っているときも、すべて同じく『全体を微分→中身の微分をかける』で処理できます。公式を個別に覚えるより、このリズムを1つ身につけるのが近道です。

陰関数の微分で、なぜ y² を微分すると 2y×(dy/dx) になるのですか?

x²+y²=4 のような式でも、グラフの一部分を見れば「x を1つ決めると y が1つ決まる」対応になっています。だから y は、まだ式で書けていないだけで x の関数(中身)です。すると y² は『x の関数を2乗した合成関数』なので、合成関数の微分がそのまま効いて、全体(2乗)の微分 2y に、中身 y の微分 dy/dx をかけて 2y×(dy/dx) になります。合成関数の『全体×中身』が、y が中身の位置に来ただけの話です。

逆関数・陰関数・媒介変数の微分に共通する考え方は何ですか?

共通するのは「y を x の関数とみなす」ことと、「合成関数の微分(全体×中身)を使う」ことです。逆関数は x=(yの式)の形から dx/dy を出して逆数にし、陰関数は両辺を x で微分するときに y の項を合成関数として扱い、媒介変数は t という共通の橋を経由して微分をつなぎます。見た目は違っても、どれも『y は x の関数』という一点と、合成関数の微分の応用でつながっています。

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