クローネ学園ロゴクローネ学園
ホーム塾紹介時間割無料ドリル合格実績ライブラリー無料体験申込
ライブラリーへ
26数学高校生

【数Ⅲ】微分公式の総まとめ|積・商・合成関数・媒介変数を1つの土台で覚える

高校数学Ⅲの微分公式を、積の微分・商の微分・合成関数・媒介変数表示まで体系的にまとめます。バラバラに覚えるのではなく「合成関数の微分(連鎖律)」を背骨にすると一本につながる、という視点で整理。三角・指数・対数・累乗根の導関数、つまずきの急所、確認演習つき。高松市の学習塾クローネ学園が大学受験を支えます。

この記事について

数Ⅲの微分は,公式が一気に増えます。積の微分・商の微分・合成関数・媒介変数……と並ぶと,「どれをいつ使うのか」「こんなに覚えられない」と感じた人も多いはずです。

けれども,これらはバラバラの公式ではありません。ほとんどが「合成関数の微分(連鎖律)」という一つの土台から派生したものです。この記事では,数Ⅲの微分公式を連鎖律を背骨にして一本につなぎ,覚える量を減らす整理をします。

  • 基本(xnx^n・定数倍・和差)
  • 積の微分・商の微分
  • 合成関数の微分(連鎖律)=この記事の背骨
  • 三角・指数・対数・累乗根の導関数
  • 媒介変数で表された関数の微分

各テーマのあとに確認演習をつけました。

この記事でいちばん伝えたいこと

伝えたいのは,「数Ⅲの微分の大半は,連鎖律 dydx=dydududx\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{dy}{du}\cdot\dfrac{du}{dx} の言い換えにすぎない」ということです。

  •  \sqrt{\ }sin\sinlog\log の中身に式が入る → 連鎖律(外側を微分して内側の微分をかける)
  • 媒介変数 tt で表される → 連鎖律を tt という橋でつなぐ

公式を 1010 個暗記するのではなく,連鎖律を 11 つ完璧にして「外側を微分→内側の微分をかける」というリズムを身につける。これが本質です。


基本:まずここから

微分の基本公式

(xn)=nxn1{kf(x)}=kf(x){f(x)±g(x)}=f(x)±g(x)(x^n)'=nx^{n-1}\qquad\{kf(x)\}'=kf'(x)\qquad\{f(x)\pm g(x)\}'=f'(x)\pm g'(x)

xnx^n の微分(指数を前に下ろして,指数を 11 減らす)と,定数倍・和差はそのまま分けて微分できる。ここは数Ⅱの復習です。nn が負の数や分数でも,この公式は成り立ちます。

(1x)=(x1)=x2=1x2(x)=(x12)=12x12=12x\left(\frac{1}{x}\right)'=(x^{-1})'=-x^{-2}=-\frac{1}{x^2}\qquad (\sqrt{x})'=\left(x^{\frac12}\right)'=\frac12x^{-\frac12}=\frac{1}{2\sqrt{x}}

KRONE ポイント

1x\dfrac1xx\sqrt{x} は,x1x^{-1}x12x^{\frac12}指数の形に直す(xn)=nxn1(x^n)'=nx^{n-1} 一本で微分できます。「分数や根号は指数に直す」が数Ⅲの基本姿勢です。


積の微分・商の微分

22 つの関数の積や商は,そのまま「それぞれ微分してかける/割る」ことはできません。専用の公式を使います。

積の微分・商の微分

{f(x)g(x)}=f(x)g(x)+f(x)g(x)\{f(x)g(x)\}'=f'(x)g(x)+f(x)g'(x){f(x)g(x)}=f(x)g(x)f(x)g(x){g(x)}2\left\{\frac{f(x)}{g(x)}\right\}'=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{\{g(x)\}^2}

積は「前を微分×後ろ+前×後ろを微分」,商は「(上を微分×下−上×下を微分)÷下の 22」。商はマイナスの順序(上の微分が先)と,分母の 22 乗を忘れないことが急所です。

例題1-1

y=x2sinxy=x^2\sin x を微分しなさい。

答え・解説を見る

積の微分です。f=x2, g=sinxf=x^2,\ g=\sin x とおくと f=2x, g=cosxf'=2x,\ g'=\cos x

y=(x2)sinx+x2(sinx)=2xsinx+x2cosxy'=(x^2)'\sin x+x^2(\sin x)'=2x\sin x+x^2\cos x

(答)y=2xsinx+x2cosxy'=2x\sin x+x^2\cos x

例題1-2

y=xx2+1y=\dfrac{x}{x^2+1} を微分しなさい。

答え・解説を見る

商の微分です。f=x, g=x2+1f=x,\ g=x^2+1 とおくと f=1, g=2xf'=1,\ g'=2x

y=(x)(x2+1)x(x2+1)(x2+1)2=1(x2+1)x2x(x2+1)2=1x2(x2+1)2y'=\frac{(x)'(x^2+1)-x(x^2+1)'}{(x^2+1)^2} =\frac{1\cdot(x^2+1)-x\cdot 2x}{(x^2+1)^2} =\frac{1-x^2}{(x^2+1)^2}

(答)y=1x2(x2+1)2y'=\dfrac{1-x^2}{(x^2+1)^2}

KRONE ポイント

積は「前微分×後+前×後微分」,商は「(上微分×下−上×下微分)÷下²」。商はマイナスの向き(上を先に微分)と分母の 22 乗が落とし穴。声に出してリズムで覚えると速いです。


背骨:合成関数の微分(連鎖律)

ここがこの記事の中心です。x2+1\sqrt{x^2+1}sin3x\sin 3x のように,関数の中に別の関数が入っている(合成されている)とき,連鎖律を使います。

合成関数の微分(連鎖律)

y=f(u)y=f(u)u=g(x)u=g(x) のとき

dydx=dydududx\frac{dy}{dx}=\frac{dy}{du}\cdot\frac{du}{dx}

言葉にすると,「外側の関数を微分して,内側の関数の微分をかける」x2+1\sqrt{x^2+1} なら,外側は  \sqrt{\ },内側は x2+1x^2+1。外側 u\sqrt{u} を微分して,内側 x2+1x^2+1 の微分をかける,という二段構えです。

なぜかけ算になるのか,イメージで押さえましょう。xx が少し動くと,まず内側 u=g(x)u=g(x) がその dudx\dfrac{du}{dx} 倍だけ動く。その uu の動きを受けて,外側 y=f(u)y=f(u)dydu\dfrac{dy}{du} 倍だけ動く。xxuu の変化率」と「uuyy の変化率」を掛け合わせると,「xxyy の変化率」になる——これが連鎖律の正体です。

例題2-1

y=(2x3)5y=(2x-3)^5 を微分しなさい。

答え・解説を見る

外側は ( )5(\ )^5,内側は 2x32x-3u=2x3u=2x-3 とおくと y=u5y=u^5

外側を微分:dydu=5u4=5(2x3)4\dfrac{dy}{du}=5u^4=5(2x-3)^4。内側を微分:dudx=2\dfrac{du}{dx}=2。かけて,

dydx=5(2x3)42=10(2x3)4\frac{dy}{dx}=5(2x-3)^4\cdot 2=10(2x-3)^4

(答)y=10(2x3)4y'=10(2x-3)^4

例題2-2

y=x2+1y=\sqrt{x^2+1} を微分しなさい。

答え・解説を見る

 \sqrt{\ }12\dfrac12 乗。外側 u12u^{\frac12},内側 u=x2+1u=x^2+1

外側を微分:dydu=12u12=12x2+1\dfrac{dy}{du}=\dfrac12u^{-\frac12}=\dfrac{1}{2\sqrt{x^2+1}}。内側を微分:dudx=2x\dfrac{du}{dx}=2x。かけて,

dydx=12x2+12x=xx2+1\frac{dy}{dx}=\frac{1}{2\sqrt{x^2+1}}\cdot 2x=\frac{x}{\sqrt{x^2+1}}

(答)y=xx2+1y'=\dfrac{x}{\sqrt{x^2+1}}

KRONE ポイント

根号は 12\dfrac12 乗に直してから連鎖律。(中身)=(中身)2中身\left(\sqrt{\text{中身}}\right)'=\dfrac{(\text{中身})'}{2\sqrt{\text{中身}}} と公式化して覚えてもよいですが,元は連鎖律です。

確認演習2

次の関数を微分しなさい。

  • (1)y=(3x2+1)4y=(3x^2+1)^4
  • (2)y=1x2+2y=\dfrac{1}{x^2+2}
答え・解説を見る

(1)外側 u4u^4,内側 u=3x2+1u=3x^2+1dydu=4u3\dfrac{dy}{du}=4u^3dudx=6x\dfrac{du}{dx}=6x

y=4(3x2+1)36x=24x(3x2+1)3y'=4(3x^2+1)^3\cdot 6x=24x(3x^2+1)^3

(2)y=(x2+2)1y=(x^2+2)^{-1} とみる。外側 u1u^{-1},内側 u=x2+2u=x^2+2dydu=u2\dfrac{dy}{du}=-u^{-2}dudx=2x\dfrac{du}{dx}=2x

y=(x2+2)22x=2x(x2+2)2y'=-(x^2+2)^{-2}\cdot 2x=-\frac{2x}{(x^2+2)^2}

(答)(1)24x(3x2+1)324x(3x^2+1)^3 (2)2x(x2+2)2-\dfrac{2x}{(x^2+2)^2}


各関数の導関数も「外側」として使う

三角・指数・対数の導関数は,連鎖律の「外側」として使う部品です。まず素の形を押さえます。

おもな関数の導関数

(sinx)=cosx(cosx)=sinx(tanx)=1cos2x(\sin x)'=\cos x\qquad(\cos x)'=-\sin x\qquad(\tan x)'=\frac{1}{\cos^2x}(ex)=ex(logx)=1x(ax)=axloga(e^x)'=e^x\qquad(\log x)'=\frac{1}{x}\qquad(a^x)'=a^x\log a

これらの「中身」に式が入ったら,連鎖律で内側の微分をかけるだけです。

関数微分仕組み
sin(中身)\sin(\text{中身})cos(中身)×(中身)\cos(\text{中身})\times(\text{中身})'外側 sin\sincos\cos,内側の微分をかける
e中身e^{\text{中身}}e中身×(中身)e^{\text{中身}}\times(\text{中身})'外側 ee はそのまま,内側の微分をかける
log(中身)\log(\text{中身})(中身)中身\dfrac{(\text{中身})'}{\text{中身}}外側 log\log1中身\dfrac1{\text{中身}},内側の微分をかける

例題3-1

y=sin3xy=\sin 3xy=ex2y=e^{x^2}y=log(2x+1)y=\log(2x+1) をそれぞれ微分しなさい。

答え・解説を見る

すべて「外側を微分→内側の微分をかける」。

(sin3x)=cos3x(3x)=3cos3x(\sin 3x)'=\cos 3x\cdot(3x)'=3\cos 3x(ex2)=ex2(x2)=2xex2(e^{x^2})'=e^{x^2}\cdot(x^2)'=2xe^{x^2}{log(2x+1)}=(2x+1)2x+1=22x+1\{\log(2x+1)\}'=\frac{(2x+1)'}{2x+1}=\frac{2}{2x+1}

(答)3cos3x3\cos 3x 2xex2\ 2xe^{x^2} 22x+1\ \dfrac{2}{2x+1}

KRONE ポイント

三角・指数・対数の微分は,連鎖律の「外側」にすぎません。素の導関数(sincos\sin\to\cos など)さえ覚えれば,中身に式が入っても「内側の微分をかける」を足すだけ。覚える公式が激減します。


媒介変数で表された関数の微分

xxyy も,共通の変数 tt(媒介変数)で表されることがあります。このときも,tt を消去して x,yx,y の式に直す必要はありません。tt を橋にして微分をつなぐ——これも連鎖律の仲間です。

媒介変数表示の微分

x=f(t)x=f(t)y=g(t)y=g(t) のとき

dydx= dydt dxdt=g(t)f(t)(dxdt0)\frac{dy}{dx}=\frac{\ \dfrac{dy}{dt}\ }{\dfrac{dx}{dt}}=\frac{g'(t)}{f'(t)}\qquad\left(\frac{dx}{dt}\neq0\right)

yytt で微分したものを,xxtt で微分したもので割る。「tt で揃えてから割る」と覚えます。

例題4-1

xx の関数 yy が媒介変数 tt を用いて次のように表されるとき,dydx\dfrac{dy}{dx}tt の式で表しなさい。

  • (1)x=tt2+1x=\dfrac{t}{t^2+1} y=t2t2+1\ y=\dfrac{t^2}{t^2+1}
  • (2)x=t2+1x=\sqrt{t^2+1} y=t3\ y=t^3
答え・解説を見る

それぞれ x,yx,ytt で微分してから割ります。

(1) dxdt\dfrac{dx}{dt} は商の微分で,

dxdt=(t)(t2+1)t(t2+1)(t2+1)2=(t2+1)t2t(t2+1)2=1t2(t2+1)2\frac{dx}{dt}=\frac{(t)'(t^2+1)-t(t^2+1)'}{(t^2+1)^2} =\frac{(t^2+1)-t\cdot 2t}{(t^2+1)^2}=\frac{1-t^2}{(t^2+1)^2}dydt=(t2)(t2+1)t2(t2+1)(t2+1)2=2t(t2+1)t22t(t2+1)2=2t(t2+1)2\frac{dy}{dt}=\frac{(t^2)'(t^2+1)-t^2(t^2+1)'}{(t^2+1)^2} =\frac{2t(t^2+1)-t^2\cdot 2t}{(t^2+1)^2}=\frac{2t}{(t^2+1)^2}

割って(t±1t\neq\pm1 のとき),

dydx= 2t(t2+1)2 1t2(t2+1)2=2t1t2\frac{dy}{dx}=\frac{\ \dfrac{2t}{(t^2+1)^2}\ }{\dfrac{1-t^2}{(t^2+1)^2}}=\frac{2t}{1-t^2}

(2) dxdt\dfrac{dx}{dt} \sqrt{\ } の連鎖律で,

dxdt={(t2+1)12}=12(t2+1)12(t2+1)=tt2+1\frac{dx}{dt}=\left\{(t^2+1)^{\frac12}\right\}'=\frac12(t^2+1)^{-\frac12}(t^2+1)'=\frac{t}{\sqrt{t^2+1}}dydt=(t3)=3t2\frac{dy}{dt}=(t^3)'=3t^2

t0t\neq0 のとき,

dydx= 3t2 tt2+1=3t2t2+1t=3tt2+1\frac{dy}{dx}=\frac{\ 3t^2\ }{\dfrac{t}{\sqrt{t^2+1}}}=3t^2\cdot\frac{\sqrt{t^2+1}}{t}=3t\sqrt{t^2+1}

(答)(1)2t1t2\dfrac{2t}{1-t^2} (2)3tt2+13t\sqrt{t^2+1}

KRONE ポイント

媒介変数の微分は「tt で微分して割るだけ」。x,yx,ytt で微分するときに,商の微分((1))や  \sqrt{\ } の連鎖律((2))が顔を出します。つまりここでも,前半で身につけた公式の組み合わせなのです。

確認演習4

x=2t2+1x=2t^2+1 y=t3\ y=t^3 のとき,dydx\dfrac{dy}{dx}tt の式で表しなさい。

答え・解説を見る

dxdt=4t\dfrac{dx}{dt}=4tdydt=3t2\dfrac{dy}{dt}=3t^2t0t\neq0 のとき,

dydx=3t24t=3t4\frac{dy}{dx}=\frac{3t^2}{4t}=\frac{3t}{4}

(答)dydx=3t4\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{3t}{4}


逆関数の微分

yyxx で微分するのが難しくても,逆に xxyy で微分するのは簡単,という場合があります。そのときは,dxdy\dfrac{dx}{dy} を求めて逆数をとるだけで dydx\dfrac{dy}{dx} が出ます。

逆関数の微分

dydx=1 dxdy (dxdy0)\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\ \dfrac{dx}{dy}\ }\qquad\left(\frac{dx}{dy}\neq0\right)

なぜ逆数でよいのか。dydx\dfrac{dy}{dx}dxdy\dfrac{dx}{dy} は,「xx が動くと yy がどれだけ動くか」と「yy が動くと xx がどれだけ動くか」を表す,互いに逆向きの変化率です。だから掛けると 11 になり,一方は他方の逆数になります。これも連鎖律の身近な現れです。

例題5-1

y=x3y=\sqrt[3]{x} を,逆関数の微分を使って微分しなさい。

答え・解説を見る

y=x3y=\sqrt[3]{x} の両辺を 33 乗すると x=y3x=y^3。これは xxyy で微分するのが簡単な形です。

dxdy=3y2\frac{dx}{dy}=3y^2

逆数をとって,y=x13y=x^{\frac13} を戻すと,

dydx=13y2=13(x13)2=13x23=13x23\frac{dy}{dx}=\frac{1}{3y^2}=\frac{1}{3\left(x^{\frac13}\right)^2}=\frac{1}{3x^{\frac23}}=\frac{1}{3\sqrt[3]{x^2}}

(答)y=13x23y'=\dfrac{1}{3\sqrt[3]{x^2}}

(x13)=13x23\left(x^{\frac13}\right)'=\dfrac13x^{-\frac23} と,(xn)=nxn1(x^n)'=nx^{n-1} で直接計算した結果と一致します。「x=x=yy の式)に直して逆数」が逆関数の微分の使いどころです。

KRONE ポイント

dydx\dfrac{dy}{dx} が難しくても dxdy\dfrac{dx}{dy} が易しいなら,逆数で求める。dydx=1dx/dy\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{1}{dx/dy}x=x=yy の式)に直せるときが出番です。


陰関数の微分

x2+y2=1x^2+y^2=1 のように,y=y=xx の式)の形に解けていない(xxyy が混ざった)式を陰関数といいます。これも yy について解かずに dydx\dfrac{dy}{dx} を求められます。

なぜ「yyxx の関数」とみてよいのか

その前に,多くの人がつまずく根本を押さえます。陰関数の微分では「yyxx の関数とみて微分する」と言われますが,そもそもなぜ yyxx の関数とみてよいのでしょうか

カギは,x2+y2=1x^2+y^2=1 という式そのものにあります。この式は,xxyy がてんでバラバラに動けるのではなく,たがいに結びついていることを表しています。試しに xx の値を一つ決めてみましょう。x=0x=0 を代入すると y2=1y^2=1 となり y=±1y=\pm1x=35x=\dfrac35 を代入すると y2=1625y^2=\dfrac{16}{25}y=±45y=\pm\dfrac45……というように,xx の値を決めれば,それに応じて yy の値が決まります

つまり x2+y2=1x^2+y^2=1 という式は,「y=y=xx の式)」とはっきり書かれていないだけで,xx を入れれば yy が定まる関係を,式の中に隠し持っているのです。だから yyxx の関数とみなせる——これが「関数」(関数関係が陰に隠れている)という名前の由来であり,xx で微分できる理由です。

この見方さえ受け入れれば,あとは機械的です。コツは,yy を「xx の関数」とみて,両辺を xx で微分すること。このとき yy の式は連鎖律で微分します。

陰関数の微分の手順

両辺を xx で微分する。yy を含む項は連鎖律で,

ddx{yの式}=yで微分)×dydx\frac{d}{dx}\{\,y\,\text{の式}\,\}=(\,y\,\text{で微分})\times\frac{dy}{dx}

として微分し,最後に dydx\dfrac{dy}{dx} について解く。

たとえば y2y^2xx で微分すると,外側 ( )2(\ )^2 を微分して 2y2y,内側 yy の微分 dydx\dfrac{dy}{dx} をかけて 2ydydx2y\dfrac{dy}{dx} となります。ここでも効いているのは連鎖律です。

例題6-1

x2+y2=1x^2+y^2=1 のとき,dydx\dfrac{dy}{dx}x, yx,\ y で表しなさい。

答え・解説を見る

両辺を xx で微分します。yyxx の関数とみて連鎖律で。

ddx(x2)+ddx(y2)=ddx(1)\frac{d}{dx}(x^2)+\frac{d}{dx}(y^2)=\frac{d}{dx}(1)2x+2ydydx=02x+2y\frac{dy}{dx}=0

dydx\dfrac{dy}{dx} について解いて,

dydx=xy(y0)\frac{dy}{dx}=-\frac{x}{y}\qquad(y\neq0)

(答)dydx=xy\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{x}{y}

KRONE ポイント

陰関数は yy について解かない。yyxx の関数とみて両辺を xx で微分し,yy の項は連鎖律で dydx\dfrac{dy}{dx} が付く。最後に dydx\dfrac{dy}{dx} について解く,の 33 ステップです。

確認演習6

x2+xy+y2=3x^2+xy+y^2=3 のとき,dydx\dfrac{dy}{dx}x, yx,\ y で表しなさい。

答え・解説を見る

両辺を xx で微分します。左辺は 33 つの項 x2x^2xyxyy2y^2 に分かれているので,一つずつ微分していきます。ここで終始忘れてはいけないのは,yy は「xx の関数」だということ。だから yy を微分すると dydx\dfrac{dy}{dx} が顔を出します。これが陰関数微分のすべての出発点です。

第1項 x2x^2 ふつうに xx で微分するだけ。

ddx(x2)=2x\frac{d}{dx}(x^2)=2x

第2項 xyxy xxyyなので,積の微分「前を微分×後+前×後を微分」を使います。「前」=x=x,「後」=y=yyyxx で微分すると dydx\dfrac{dy}{dx} なので,

ddx(xy)=(x)y+x(y)=1y+xdydx=y+xdydx\frac{d}{dx}(xy)=(x)'\cdot y+x\cdot(y)'=1\cdot y+x\cdot\frac{dy}{dx}=y+x\frac{dy}{dx}

ここが陰関数微分の急所です。xyxy を「定数×xx」のように yy だけ微分し忘れると間違えます。yyxx の関数だから,積の微分がまるごと必要なのです。

第3項 y2y^2 なぜこれが合成関数なのか。思い出してください,yyxx の関数,つまり中身が xx の式でした。だから y2y^2 は「(xx の式)を 22 乗したもの」という,22 段重ねの形をしています。

たとえば仮に y=x2+1y=x^2+1 だったとすると y2=(x2+1)2y^2=(x^2+1)^2。これは「外側に 22 乗,内側に x2+1x^2+1」の合成関数そのものですね。yy が具体的に何かは分からなくても,y2y^2 が「外側 22 乗・内側 yy(中身は xx の式)」の合成だという構造は変わりません。

合成関数なので連鎖律「外側を微分→内側の微分をかける」を使います。外側 ( )2(\ )^2 を微分して 2y2y,内側 yy の微分 dydx\dfrac{dy}{dx} をかけて,

ddx(y2)=2ydydx\frac{d}{dx}(y^2)=2y\cdot\frac{dy}{dx}

右辺 定数 33 を微分すると 00

以上を足し合わせると,

2x+(y+xdydx)+2ydydx=02x+\left(y+x\frac{dy}{dx}\right)+2y\frac{dy}{dx}=0

ここからは dydx\dfrac{dy}{dx} について解くだけです。dydx\dfrac{dy}{dx} を含む項(xdydxx\dfrac{dy}{dx}2ydydx2y\dfrac{dy}{dx})を左辺に,残り(2x+y2x+y)を右辺に移します。

xdydx+2ydydx=(2x+y)x\frac{dy}{dx}+2y\frac{dy}{dx}=-(2x+y)

左辺を dydx\dfrac{dy}{dx} でくくって,

(x+2y)dydx=(2x+y)(x+2y)\frac{dy}{dx}=-(2x+y)

両辺を x+2yx+2y で割って,

dydx=2x+yx+2y(x+2y0)\frac{dy}{dx}=-\frac{2x+y}{x+2y}\qquad(x+2y\neq0)

(答)dydx=2x+yx+2y\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{2x+y}{x+2y}

KRONE ポイント

陰関数微分の急所は,yy を「xx の関数」と意識し続けること。xyxy は積の微分で y+xdydxy+x\dfrac{dy}{dx}y2y^2 は連鎖律で 2ydydx2y\dfrac{dy}{dx}yy の入った項は必ず dydx\dfrac{dy}{dx} が付くと覚えておけば,あとは dydx\dfrac{dy}{dx} でくくって解くだけです。


まとめ:連鎖律を背骨に,公式は一本につながる

  • 基本(xn)=nxn1(x^n)'=nx^{n-1}。分数・根号は指数に直す
  • :前微分×後+前×後微分/:(上微分×下−上×下微分)÷下²
  • 合成関数(連鎖律)=背骨:外側を微分→内側の微分をかける
  • 三角・指数・対数:素の導関数を覚え,中身に式が入れば内側の微分をかける(連鎖律)
  • 媒介変数tt で微分して割る。dydx=dy/dtdx/dt\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{dy/dt}{dx/dt}
  • 逆関数dxdy\dfrac{dx}{dy} が易しいなら逆数。dydx=1dx/dy\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{1}{dx/dy}
  • 陰関数yyxx の関数とみて両辺を xx で微分(yy の項は連鎖律)→ dydx\dfrac{dy}{dx} について解く

数Ⅲの微分公式は数が多く見えますが,大半は「外側を微分して内側の微分をかける」という連鎖律の言い換えです。連鎖律を 11 つ完璧にすれば,残りはその応用として身につきます。


クローネ学園での指導

クローネ学園では,数Ⅲの微分を「公式の数だけ暗記」させません。合成関数の微分(連鎖律)を背骨に据え,そこから三角・指数・対数・媒介変数の微分をぶら下げて整理します。受験生がいちばん落としやすいのは,商の微分の符号と分母の 22 乗,そして合成関数で「内側の微分をかけ忘れる」点です。クローネ学園では,この急所を最初に潰してから演習に入ります。

微分は,このあと「接線・法線」「極大極小」「グラフの概形」「速度・加速度」へと土台になって効いてきます。公式を一本につないで身につけておきましょう。

高松市で大学受験対策の数学をお探しの方は,高校生向けの指導もあわせてご覧ください。無料体験・お問い合わせはこちらからどうぞ。

本記事の文章・図版の著作権はクローネ学園に帰属します。無断転載・複製・二次利用を禁じます。(執筆:横田 耕祐)

FAQ

よくある質問

数IIIの微分公式が多すぎて覚えられません。コツはありますか?

コツは「合成関数の微分(連鎖律)」を背骨にすることです。三角・指数・対数・累乗根の微分や、媒介変数の微分は、すべて連鎖律 dy/dx = dy/du × du/dx の応用です。個々の公式を丸暗記するより、まず連鎖律を一つ完璧にして、あとは『外側を微分して、内側の微分をかける』というパターンに当てはめると、覚える量が一気に減ります。

合成関数の微分はどう使えばいいですか?

「外側の関数を微分して、内側の関数の微分をかける」の2ステップです。たとえば y=(2x-3)^5 なら、外側 ( )^5 を微分して 5(2x-3)^4、内側 2x-3 を微分して 2、かけて 5(2x-3)^4 × 2 = 10(2x-3)^4 です。√や sin、log の中身に式が入っているときも、同じく『外側を微分→内側の微分をかける』で処理できます。

媒介変数で表された関数の微分はどうやりますか?

x も y も媒介変数 t で表されているときは、dy/dx = (dy/dt)÷(dx/dt) で求めます。つまり、y を t で微分したものを、x を t で微分したもので割ります。t を消去して x と y の式に直す必要はありません。これも『t という共通の橋を経由して微分をつなぐ』という、連鎖律の考え方の一種です。

Courses

高松市の学習塾クローネ学園