【数Ⅲ】中間値の定理で「解の存在」を示す|なぜ閉区間で連続が必要か・開区間の問題を閉区間で解く理由
高校数学Ⅲの中間値の定理を、解けない方程式でも「解があること」を示す道具として解説します。なぜ閉区間で連続が必要かをグラフで説明し、開区間で解の存在を示す問題をなぜ閉区間で解いてよいのかにも踏みこみます。1/x=log2 x、cosx=x型の証明と確認演習つき。高松市の学習塾クローネ学園が大学受験を支えます。
この記事について
「方程式 が解をもつことを示せ」——こう言われて,手が止まった経験はありませんか。解を求めよなら式変形すればいい。でも「解があることを示せ」と言われると,求められないのにどうやって示すんだ,と固まってしまう。中間値の定理が苦手な人の多くは,ここでつまずきます。
数Ⅲの中間値の定理は,まさにこの「解を求めずに,解があることだけを示す」ための道具です。 や のように,式変形ではどうやっても解けない方程式でも,「この範囲に解が少なくとも つある」と証明できます。
手順そのものは難しくありません。難しいのは,多くの参考書が流してしまう次の つの「なぜ」です。
- なぜ「閉区間で連続」という条件が必要なのか
- 問題は「開区間 に解がある」と聞いているのに,なぜ閉区間 で解き進めてよいのか
この記事では,この つをグラフで腑に落としてから,証明の型と確認演習に進みます。
この記事でいちばん伝えたいこと
中間値の定理がやっているのは,たった一つのことです。「切れ目なくつながった線が,下から上へ移るなら,途中で必ず の高さを通る」——ただこれだけ。
- 「切れ目なく」を保証するのが連続の条件
- 「下から上へ」を保証するのが両端で異符号( と の符号が違う)の条件
この つがそろえば,線は必ず 軸を横切る。横切る点が「解」です。定理の文言を暗記するのではなく,この一枚の絵を持っておくことが本質です。
中間値の定理とは
中間値の定理(解の存在版)
関数 が
- ① 閉区間 で連続
- ② と が異符号()
を満たすならば,方程式 は に少なくとも つの実数解をもつ。
使い方の流れはいつも同じです。
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1 | 方程式を の形にして を決める |
| 2 | 区間の両端 を読み取る |
| 3 | で が連続であることを述べる(条件①) |
| 4 | と を計算し,異符号であることを示す(条件②) |
| 5 | 中間値の定理より「 に解をもつ」と結論する |
KRONE ポイント
中間値の定理は「解を求める」道具ではなく「解があると言う」道具。 とおいて,両端の符号が違うことさえ示せれば,解の値がわからなくても存在は保証できます。
なぜ「連続」が必要か
中間値の定理の前提は「閉区間 で連続」。この条件には「連続」と「閉区間(端点 を含む)」の つの要素があります。まずは「連続」がなぜ要るのかから見ます。
ここが最大の急所です。条件②(両端で異符号)だけでは,解があるとは言えません。つながっていること(連続)が抜けると,符号が違っても解を飛び越えてしまうからです。
- 左(連続): で下から始まり, で上に着く。線が切れていないので,どんな描き方をしても必ず 軸(高さ )を一度は通ります。その通過点が解です。
- 右(不連続):両端の符号は同じく異符号なのに,途中に段差(ジャンプ)があります。線は 軸の手前で途切れ,段差の上から再開するので, 軸を一度も横切りません。=解がない。
つまり「異符号」だけでは不十分で,「切れ目なくつながっている」=連続があって初めて「必ず横切る」と言い切れます。これが「連続」が前提に要る理由です。ではなぜ「開区間 」ではなく「閉区間 」——端点 まで含めるのか。それを次に見ます。
KRONE ポイント
連続の条件を落とすと,異符号でも解があるとは限りません。証明では「 は で連続であり」の一文を必ず書くこと。( で連続)・( で連続)・三角関数(実数全体で連続)など,連続な関数の和・差・積はまた連続,という事実が根拠になります。
なぜ「閉区間」——端点まで含めるのが必要か
「連続」の次は,なぜ端点 を含めた閉区間でなければならないかです。これは前の「連続」とは別の理由で,混同しないように分けて押さえましょう。
理由は一言で言えば,定理が端点の値 の符号を使うからです。端点 をきちんと含めて,そこでの値をグラフに乗せないと,「横切るかどうか」が変わってしまいます。
下の図を見てください。本来は が正・ が負で,異符号だから「解があるはず」の状況です。ところが区間が を含まない(端が開いている)ために, での値 ( 軸より上)がグラフから抜け落ちています。
すると区間の中に残るグラフは, のすぐ右( 軸より下)から始まって までずっと負のまま。 軸()を一度も横切らず,解があるはずなのに見つかりません。 軸を横切らせていた「正の側の端」が, を含めなかったせいで消えてしまったのです。
端点 まで含めて,そこでの値もグラフに乗せる——これが「閉区間」でなければならない理由です。「どうせ符号は分かる」のではなく,端点を含めないと横切る部分そのものが消えて,解を取りこぼすことがあるのです。
KRONE ポイント
「連続」と「閉区間」は別の条件。連続=途中に切れ目がない(飛び越えを防ぐ)。閉区間=端点 まで含む(端点の値 の符号を使えるようにする)。 つそろって初めて定理が成り立ちます。
型1:対数を含む方程式の解の存在を示す
例題1-1
方程式 は, の範囲に少なくとも つの実数解をもつことを示しなさい。
答え・解説を見る
とおきます。
① 連続性 は で連続, は で連続。よって は で連続なので,(閉区間)でも連続です。
② 両端の符号
で異符号です。
結論 は で連続,かつ と が異符号だから,中間値の定理より方程式 は に少なくとも つの実数解をもつ。
(証明終)
KRONE ポイント
, のような「きれいに値が出る端点」が選ばれているのがヒント。両端を代入して符号がパッと判定できる点を選ぶのが,この型のコツです。
型2:三角関数を含む方程式の解の存在を示す
例題2-1
方程式 は, の範囲に少なくとも つの実数解をもつことを示しなさい。
答え・解説を見る
まず の形にします。 を移項して とおきます。
① 連続性 も も実数全体で連続なので, は (閉区間)で連続です。
② 両端の符号
ここで , なので分子は正。よって 。
(ラジアン)は の範囲にあり,この範囲で は減少して だから 。よって 。
で異符号です。
結論 は で連続,かつ両端が異符号だから,中間値の定理より方程式 は に少なくとも つの実数解をもつ。
(証明終)
KRONE ポイント
のように両辺に があるときは,必ず片側に寄せて の形にしてから を作る。符号の判定では と の大小, のような評価がカギになります。
前提は「」なのに,なぜ結論は「」なのか
ここまで 問を解いて,こんな引っかかりを覚えた人がいるかもしれません。どちらの問題でも,連続を確かめたのは閉区間 や (端を含む)なのに,結論は「」「」(端を含まない開区間)に解をもつ,と書いた——なぜ区間がすり替わるのか,と。
これは定理の文言どおりです。前提①は端点を含む で連続,結論は端を含まない に解をもつ。端点まで含めて考えたのに,なぜ解の居場所は端を外した開区間なのか? ここに矛盾はないのか。答えは「矛盾しない」。
理由は,解が端点には来ないから。条件②より と は異符号,つまりどちらも ではありません。 なので, となる解 が端点 や になることはありえない。だから解は必ず端点を除いた開区間 の内側に入ります。
端点を含めて連続を確かめるのは「符号を語るため」,得られる解は端点に乗らないので「開区間の中」。閉区間で確かめることと,開区間に解があるという結論は,矛盾なく両立するのです。
KRONE ポイント
端点を含めて符号を見るが,解は端点に乗らない。だから連続の確認は で進め,結論は と書く。「端点を含めて符号を見る・解は内側」の二段構えです。
確認演習
確認演習1
方程式 は, の範囲に少なくとも つの実数解をもつことを示しなさい。
答え・解説を見る
とおきます。
① 連続性 も も実数全体で連続なので, は で連続。
② 両端の符号
異符号です。
結論 は で連続,かつ と が異符号だから,中間値の定理より方程式 は に少なくとも つの実数解をもつ。
(証明終)
確認演習2
方程式 は, の範囲に少なくとも つの実数解をもつことを示しなさい。
答え・解説を見る
とおきます。
① 連続性 多項式なので は実数全体で連続。よって でも連続。
② 両端の符号
異符号です。
結論 は で連続,かつ と が異符号だから,中間値の定理より方程式 は に少なくとも つの実数解をもつ。
(証明終)
多項式は無条件で連続なので,連続性の確認が一番ラクな型です。両端の代入だけに集中できます。
つまずきの急所と注意点
- 連続を書き忘れる:「 が異符号」だけ書いて,連続の一文を落とすと減点。 の根拠は連続+異符号の両輪です。
- となる がただ つとは限らない:中間値の定理が保証するのは「少なくとも つ」。解が複数あっても定理は何も矛盾しません(左の図でも,曲線がうねれば横切る回数は増えます)。
- 実数全体で連続でなくてよい:必要なのは対象の閉区間 での連続だけ。 は で不連続ですが, なら問題なく使えます。
まとめ:中間値の定理は「連続+異符号」の両輪
- 方程式を にして,①閉区間で連続 ②両端で異符号 を示す → に解がある
- 連続が必要なわけ:切れ目があると,異符号でも段差で解を飛び越えるから(図で確認)
- 開区間の問題を閉区間で解けるわけ:端点では だから,解は端点に乗らず開区間の内側に入る
- 型1(対数)・型2(三角)・確認演習(指数・多項式)も,やることは同じ手順
「解を求める」のではなく「解があると言う」。この発想の切りかえができれば,中間値の定理の問題は手順を流すだけになります。
クローネ学園での指導
クローネ学園では,中間値の定理を「証明の作法の暗記」ではなく,一枚のグラフ(切れ目のない線は下から上へ移るとき必ず を通る)として指導しています。手順は誰でもすぐ覚えられますが,「なぜ連続が必要か」「なぜ開区間の問題を閉区間で解けるのか」を絵で理解している生徒は,記述の一文を落としません。
この単元は,関数の連続性( の極限で定義された関数など)を土台に,方程式の解の個数・グラフの交点の議論へとつながります。連続性の考え方とセットで身につけておきましょう。 の極限で定義された関数の連続性については【数Ⅲ】極限で定義された関数の連続性も参考にしてください。
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本記事の文章・図版の著作権はクローネ学園に帰属します。無断転載・複製・二次利用を禁じます。(執筆:横田 耕祐)
FAQ
よくある質問
中間値の定理は、どんなときに使いますか?
「この方程式は解を持つことを示せ」という、解を具体的に求めない(求められない)問題で使います。1/x=log2 x や cosx=x のように、式変形では解けない方程式でも、f(x)とおいて区間の両端で符号が変われば、その間に解があると言えます。解の値はわからなくても、存在だけは保証できる、これが中間値の定理の役割です。
中間値の定理を使うとき、なぜ「閉区間で連続」が必要なのですか?
関数がつながっていない(途中に段差や穴がある)と、両端で符号が違っても、その段差でジャンプしてx軸を飛び越えてしまい、解がないことがあるからです。連続であって初めて、グラフが切れ目なくつながり、必ずx軸を一度は横切ると言えます。だから「閉区間で連続」は定理を使うための前提条件です。
開区間で解の存在を示す問題なのに、なぜ閉区間で解いてよいのですか?
中間値の定理は両端a,bでの符号f(a),f(b)を使うので、端点を含む閉区間[a,b]で連続性を確認して定理を適用します。一方で、両端では f(a)≠0・f(b)≠0(異符号だから0ではない)なので、解が端点a,bそのものになることはありません。よって見つかる解は必ず開区間(a,b)の内側に入ります。閉区間で立式しても、結論は開区間の解として両立するのです。
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