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約25分数学高校生

【数Ⅲ】三角関数の極限|「lim⁡x→0sin⁡xx=1\displaystyle \lim_{x\to0}\dfrac{\sin x}{x}=1」と「はさみうちの原理」を解法パターン別に整理

高校数学Ⅲの三角関数の極限を、解法パターンごとに整理して解説します。sinx/x→1の基本公式から、係数をそろえる型・置きかえ型・1-cosxの有理化型・はさみうちの原理まで、型を見抜くコツと確認演習つき。高松市の学習塾クローネ学園が大学受験の数学を支えます。

この記事について

数Ⅲの三角関数の極限は,公式 lim⁡x→0sin⁡xx=1\displaystyle\lim_{x\to 0}\frac{\sin x}{x}=1 ひとつを軸に,式をどう変形してこの形に持ちこむかで決まります。問題が多く見えても,使う手は数パターンしかありません。この記事では,三角関数の極限を解法の型ごとに整理します。

  • 基本公式 sin⁡xx→1\dfrac{\sin x}{x}\to1 とその仲間(tan⁡x/x\tan x/x など)
  • 係数をそろえる型(sin⁡ax/sin⁡bx\sin ax/\sin bx など)
  • 置きかえる型(x→∞x\to\infty,x→π/2x\to\pi/2 などを x→0x\to0 に直す)
  • 1−cos⁡x1-\cos x を有理化する型
  • はさみうちの原理を使う型

各型のあとに確認演習をつけました。型を見抜く練習をしてみてください。

この記事でいちばん伝えたいこと

型を 5 つに分けますが,本当に伝えたいのは「型は手段にすぎない」ということです。すべての問題は,最終的に sin⁡(中身)同じ中身=1\dfrac{\sin(中身)}{同じ中身}=1 という1点に帰着させる作業でしかありません。

  • 係数がそろっていない → そろえる(型1)
  • x→0x\to0 になっていない → 置きかえる(型2)
  • cos⁡\cos が邪魔 → 有理化して sin⁡\sin に変える(型3・4)
  • sin⁡\sin や cos⁡\cos が振動して使えない → はさみうちに切りかえる(型5)

どの型も「sin⁡中身=1\dfrac{\sin}{中身}=1 が使える形に近づける」ための寄り道です。ゴールは1つだと分かっていれば,初見の問題でも「いま何が邪魔をしていて,どう近づければいいか」で考えられます。型の暗記ではなく,この見通しを持つことが本質です。


基本公式

三角関数の極限の基本

lim⁡x→0sin⁡xx=1\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\sin x}{x}=1

この公式を使うコツは,sin(中身)同じ中身\dfrac{\text{sin(中身)}}{\text{同じ中身}} の形を作ることです。中身と分母がそろえば,値は 1 になります。

なぜ「0を代入すると 00\dfrac{0}{0}」なのに答えが出るのか

ここでつまずく人が多いので,先に確認しておきます。sin⁡xx\dfrac{\sin x}{x} に x=0x=0 を代入すると sin⁡00=00\dfrac{\sin 0}{0}=\dfrac00 となり,計算できません。それなのに極限は 1 になります。なぜでしょうか。

ポイントは,極限は「代入」ではなく「近づける」ということです。x=0x=0 そのものは考えず,xx を 0 に限りなく近づけたときに値がどこへ向かうかを見ています。x=0.01x=0.01 なら sin⁡0.010.01≒0.99998\dfrac{\sin 0.01}{0.01}\fallingdotseq0.99998,x=0.001x=0.001 ならさらに 1 に近い——このように,0 に近づけるほど値は 1 に吸い寄せられます。代入できない 00\dfrac00 の形でも,近づき先は決まっている。これが極限です。

「00\dfrac00 だから解けない」と止まらず,「00\dfrac00 になる形こそ,変形して近づき先を調べる問題だ」と読みかえられると,極限の問題が一気に見通せるようになります。

まず,この公式から直接導ける仲間を確認します。

逆数の形

lim⁡x→0xsin⁡x=lim⁡x→01sin⁡xx=11=1\lim_{x\to0}\frac{x}{\sin x}=\lim_{x\to0}\frac{1}{\dfrac{\sin x}{x}}=\frac{1}{1}=1

tan の形

tan⁡x=sin⁡xcos⁡x\tan x=\dfrac{\sin x}{\cos x} なので,

lim⁡x→0tan⁡xx=lim⁡x→0(sin⁡xx×1cos⁡x)=1×11=1\lim_{x\to0}\frac{\tan x}{x} =\lim_{x\to0}\left(\frac{\sin x}{x}\times\frac{1}{\cos x}\right) =1\times\frac{1}{1}=1

KRONE ポイント

sin⁡xx→1\dfrac{\sin x}{x}\to1,xsin⁡x→1\dfrac{x}{\sin x}\to1,tan⁡xx→1\dfrac{\tan x}{x}\to1 はすべて 1。まず「sinまたはtanと,同じ中身が分母にある」形を探すのが出発点です。


型1:係数をそろえる

sin⁡ax\sin ax のように角度に係数がついたら,分母も同じ axax にそろえて sin⁡axax→1\dfrac{\sin ax}{ax}\to1 を作ります。

ここで多くの人が「分母に勝手に 3x3x を作っていいの?」と手が止まります。これがこの型のいちばんのつまずきです。けれども,やっているのは 3x3x\dfrac{3x}{3x} という「1」をかけているだけです。1 をかけても式の値は変わりません。「ないものを足す」のではなく「1 をかけて形を整える」と読みかえれば,ためらいなく変形できます。

例題1-1

lim⁡x→0sin⁡3xsin⁡7x\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\sin 3x}{\sin 7x} を求めなさい。

答え・解説を見る

分子は 3x3x,分母は 7x7x でそろえ,つじつまを合わせる係数をかけます。

sin⁡3xsin⁡7x=sin⁡3x3xsin⁡7x7x×3x7x\frac{\sin 3x}{\sin 7x} =\frac{\dfrac{\sin 3x}{3x}}{\dfrac{\sin 7x}{7x}}\times\frac{3x}{7x}

x→0x\to0 で sin⁡3x3x→1\dfrac{\sin 3x}{3x}\to1,sin⁡7x7x→1\dfrac{\sin 7x}{7x}\to1 なので,

lim⁡x→0sin⁡3xsin⁡7x=11×37=37\lim_{x\to0}\frac{\sin 3x}{\sin 7x}=\frac{1}{1}\times\frac{3}{7}=\frac{3}{7}

(答)37\dfrac{3}{7}

例題1-2

lim⁡x→0sin⁡5xtan⁡2x\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\sin 5x}{\tan 2x} を求めなさい。

答え・解説を見る

tan⁡2x=sin⁡2xcos⁡2x\tan 2x=\dfrac{\sin 2x}{\cos 2x} に直すと,

sin⁡5xtan⁡2x=sin⁡5xsin⁡2xcos⁡2x=sin⁡5xsin⁡2x×cos⁡2x\frac{\sin 5x}{\tan 2x}=\frac{\sin 5x}{\dfrac{\sin 2x}{\cos 2x}} =\frac{\sin 5x}{\sin 2x}\times\cos 2x

それぞれ中身にそろえて,

=sin⁡5x5xsin⁡2x2x×5x2x×cos⁡2x⟶11×52×1=52=\frac{\dfrac{\sin 5x}{5x}}{\dfrac{\sin 2x}{2x}}\times\frac{5x}{2x}\times\cos 2x \longrightarrow \frac{1}{1}\times\frac{5}{2}\times1=\frac{5}{2}

(答)52\dfrac{5}{2}

例題1-3

lim⁡x→0tan⁡3xsin⁡2x\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\tan 3x}{\sin 2x} を求めなさい。

答え・解説を見る

tan⁡3x=sin⁡3xcos⁡3x\tan 3x=\dfrac{\sin 3x}{\cos 3x} に直し,中身をそろえます。

tan⁡3xsin⁡2x=sin⁡3x3xsin⁡2x2x×3x2x×1cos⁡3x⟶11×32×1=32\frac{\tan 3x}{\sin 2x} =\frac{\dfrac{\sin 3x}{3x}}{\dfrac{\sin 2x}{2x}}\times\frac{3x}{2x}\times\frac{1}{\cos 3x} \longrightarrow\frac{1}{1}\times\frac{3}{2}\times1=\frac{3}{2}

(答)32\dfrac{3}{2}

係数をそろえる型の結論

lim⁡x→0sin⁡axsin⁡bx=ablim⁡x→0tan⁡axtan⁡bx=ab\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\sin ax}{\sin bx}=\frac{a}{b}\qquad\lim_{x\to0}\frac{\tan ax}{\tan bx}=\frac{a}{b}

KRONE ポイント

sin⁡axsin⁡bx\dfrac{\sin ax}{\sin bx} の極限は ab\dfrac{a}{b},tan⁡axtan⁡bx\dfrac{\tan ax}{\tan bx} も ab\dfrac{a}{b}。係数の比がそのまま答えになるのは,中身をそろえれば sin⁡中身\dfrac{\sin}{\text{中身}} がすべて 1 になるからです。

確認演習1

次の極限を求めなさい。

  • (1)lim⁡x→0sin⁡4xsin⁡9x\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\sin 4x}{\sin 9x}
  • (2)lim⁡x→0tan⁡6xsin⁡5x\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\tan 6x}{\sin 5x}
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(1)中身をそろえると係数の比に直る。

lim⁡x→0sin⁡4xsin⁡9x=49\lim_{x\to0}\frac{\sin 4x}{\sin 9x}=\frac{4}{9}

(2)tan⁡6x=sin⁡6xcos⁡6x\tan 6x=\dfrac{\sin 6x}{\cos 6x} とし,cos⁡6x→1\cos6x\to1。

lim⁡x→0tan⁡6xsin⁡5x=65\lim_{x\to0}\frac{\tan 6x}{\sin 5x}=\frac{6}{5}

(答)(1)49\dfrac{4}{9} (2)65\dfrac{6}{5}


型2:置きかえる(x→0 に直す)

x→∞x\to\infty や x→π2x\to\dfrac{\pi}{2} のように x→0x\to0 でないときは,tt を置いて t→0t\to0 の形に直します。

例題2-1

lim⁡x→∞xsin⁡1x\displaystyle\lim_{x\to\infty}x\sin\frac{1}{x} を求めなさい。

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t=1xt=\dfrac{1}{x} とおくと,x→∞x\to\infty のとき t→0t\to0,また x=1tx=\dfrac{1}{t} です。

lim⁡x→∞xsin⁡1x=lim⁡t→01tsin⁡t=lim⁡t→0sin⁡tt=1\lim_{x\to\infty}x\sin\frac{1}{x} =\lim_{t\to0}\frac{1}{t}\sin t =\lim_{t\to0}\frac{\sin t}{t}=1

(答)1

例題2-2

lim⁡x→π2cos⁡xcos⁡3x\displaystyle\lim_{x\to\frac{\pi}{2}}\frac{\cos x}{\cos 3x} を求めなさい。

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t=π2−xt=\dfrac{\pi}{2}-x とおくと,x→π2x\to\dfrac{\pi}{2} のとき t→0t\to0。x=π2−tx=\dfrac{\pi}{2}-t を代入すると,

cos⁡x=cos⁡ ⁣(π2−t)=sin⁡t\cos x=\cos\!\left(\frac{\pi}{2}-t\right)=\sin tcos⁡3x=cos⁡ ⁣(32π−3t)=−sin⁡3t\cos 3x=\cos\!\left(\frac{3}{2}\pi-3t\right)=-\sin 3t

したがって,

lim⁡x→π2cos⁡xcos⁡3x=lim⁡t→0sin⁡t−sin⁡3t=lim⁡t→0(−sin⁡ttsin⁡3t3t×t3t)=−11×13=−13\lim_{x\to\frac{\pi}{2}}\frac{\cos x}{\cos 3x} =\lim_{t\to0}\frac{\sin t}{-\sin 3t} =\lim_{t\to0}\left(-\frac{\dfrac{\sin t}{t}}{\dfrac{\sin 3t}{3t}}\times\frac{t}{3t}\right) =-\frac{1}{1}\times\frac{1}{3}=-\frac{1}{3}

(答)−13-\dfrac{1}{3}

例題2-3

lim⁡x→π4sin⁡x−cos⁡xx−π4\displaystyle\lim_{x\to\frac{\pi}{4}}\frac{\sin x-\cos x}{x-\dfrac{\pi}{4}} を求めなさい。

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t=x−π4t=x-\dfrac{\pi}{4} とおくと,x→π4x\to\dfrac{\pi}{4} のとき t→0t\to0,x=π4+tx=\dfrac{\pi}{4}+t。加法定理より,

sin⁡x=sin⁡ ⁣(π4+t)=22(cos⁡t+sin⁡t)\sin x=\sin\!\left(\frac{\pi}{4}+t\right)=\frac{\sqrt2}{2}(\cos t+\sin t)cos⁡x=cos⁡ ⁣(π4+t)=22(cos⁡t−sin⁡t)\cos x=\cos\!\left(\frac{\pi}{4}+t\right)=\frac{\sqrt2}{2}(\cos t-\sin t)

差をとると sin⁡x−cos⁡x=2 sin⁡t\sin x-\cos x=\sqrt2\,\sin t なので,

lim⁡x→π4sin⁡x−cos⁡xx−π4=lim⁡t→02 sin⁡tt=2\lim_{x\to\frac{\pi}{4}}\frac{\sin x-\cos x}{x-\dfrac{\pi}{4}} =\lim_{t\to0}\frac{\sqrt2\,\sin t}{t}=\sqrt2

(答)2\sqrt2

置きかえの指針

x→∞ ⇒ t=1x/x→a ⇒ t=x−ax\to\infty\ \Rightarrow\ t=\dfrac{1}{x}\quad/\quad x\to a\ \Rightarrow\ t=x-a (いずれも t→0t\to0)

KRONE ポイント

置きかえの目印は「x→0x\to0 でない」こと。x→∞x\to\infty なら t=1xt=\dfrac1x,x→ax\to a なら t=x−at=x-a。t→0t\to0 に直してから基本公式に持ちこみます。

確認演習2

lim⁡x→π2cos⁡x x−π2 \displaystyle\lim_{x\to\frac{\pi}{2}}\frac{\cos x}{\,x-\dfrac{\pi}{2}\,} を求めなさい。

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t=x−π2t=x-\dfrac{\pi}{2} とおくと t→0t\to0,x=π2+tx=\dfrac{\pi}{2}+t。

cos⁡x=cos⁡ ⁣(π2+t)=−sin⁡t\cos x=\cos\!\left(\frac{\pi}{2}+t\right)=-\sin t

よって,

lim⁡x→π2cos⁡xx−π2=lim⁡t→0−sin⁡tt=−1\lim_{x\to\frac{\pi}{2}}\frac{\cos x}{x-\dfrac{\pi}{2}} =\lim_{t\to0}\frac{-\sin t}{t}=-1

(答)−1-1


型3:1−cosx は有理化する

1−cos⁡x1-\cos x が出たら,(1+cos⁡x)(1+\cos x) を分母分子にかけて有理化します。分子が 1−cos⁡2x=sin⁡2x1-\cos^2x=\sin^2x になり,基本公式に持ちこめます。

例題3-1

lim⁡x→01−cos⁡xx2\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{1-\cos x}{x^2} を求めなさい。

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(1+cos⁡x)(1+\cos x) を分母分子にかけます。

1−cos⁡xx2=(1−cos⁡x)(1+cos⁡x)x2(1+cos⁡x)=sin⁡2xx2(1+cos⁡x)\frac{1-\cos x}{x^2} =\frac{(1-\cos x)(1+\cos x)}{x^2(1+\cos x)} =\frac{\sin^2x}{x^2(1+\cos x)}

sin⁡2xx2=(sin⁡xx)2→1\dfrac{\sin^2x}{x^2}=\left(\dfrac{\sin x}{x}\right)^2\to1,1+cos⁡x→21+\cos x\to2 なので,

lim⁡x→01−cos⁡xx2=1×12=12\lim_{x\to0}\frac{1-\cos x}{x^2}=1\times\frac{1}{2}=\frac{1}{2}

(答)12\dfrac{1}{2}

覚えておきたい結果

lim⁡x→01−cos⁡xx2=12\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{1-\cos x}{x^2}=\frac{1}{2}

KRONE ポイント

1−cos⁡x1-\cos x を見たら有理化。(1+cos⁡x)(1+\cos x) をかけて sin⁡2x\sin^2x を作るのが定石です。結果の 12\dfrac12 は頻出なので覚えておくと速いです。

確認演習3

lim⁡x→01−cos⁡2xx2\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{1-\cos 2x}{x^2} を求めなさい。

答え・解説を見る

中身が 2x2x なので,(1+cos⁡2x)(1+\cos 2x) をかけて有理化します。

1−cos⁡2xx2=sin⁡22xx2(1+cos⁡2x)=(sin⁡2x2x)2×(2x)2x2×11+cos⁡2x\frac{1-\cos 2x}{x^2} =\frac{\sin^2 2x}{x^2(1+\cos 2x)} =\left(\frac{\sin 2x}{2x}\right)^2\times\frac{(2x)^2}{x^2}\times\frac{1}{1+\cos 2x}

(sin⁡2x2x)2→1\left(\dfrac{\sin 2x}{2x}\right)^2\to1,(2x)2x2=4\dfrac{(2x)^2}{x^2}=4,1+cos⁡2x→21+\cos 2x\to2 なので,

lim⁡x→01−cos⁡2xx2=1×4×12=2\lim_{x\to0}\frac{1-\cos 2x}{x^2}=1\times4\times\frac{1}{2}=2

(答)2


型4:根号は有理化して sin の形を作る

sin⁡\sin の中身に根号があるときも,根号の有理化で sin⁡(中身)中身\dfrac{\sin(\text{中身})}{\text{中身}} の形を作ります。

例題4-1

lim⁡x→0sin⁡(x+1−1)3x\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\sin(\sqrt{x+1}-1)}{3x} を求めなさい。

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中身 x+1−1\sqrt{x+1}-1 を分母にもそろえるため,2 つに分けます。

sin⁡(x+1−1)3x=sin⁡(x+1−1)x+1−1×x+1−13x\frac{\sin(\sqrt{x+1}-1)}{3x} =\frac{\sin(\sqrt{x+1}-1)}{\sqrt{x+1}-1}\times\frac{\sqrt{x+1}-1}{3x}

左側は x→0x\to0 で中身が 00 に近づくので →1\to1。右側は根号を有理化します。

x+1−13x=(x+1−1)(x+1+1)3x(x+1+1)=x3x(x+1+1)=13(x+1+1)\frac{\sqrt{x+1}-1}{3x} =\frac{(\sqrt{x+1}-1)(\sqrt{x+1}+1)}{3x(\sqrt{x+1}+1)} =\frac{x}{3x(\sqrt{x+1}+1)} =\frac{1}{3(\sqrt{x+1}+1)}

x→0x\to0 で x+1+1→2\sqrt{x+1}+1\to2 なので,右側は 13×2=16\dfrac{1}{3\times2}=\dfrac{1}{6}。

lim⁡x→0sin⁡(x+1−1)3x=1×16=16\lim_{x\to0}\frac{\sin(\sqrt{x+1}-1)}{3x}=1\times\frac{1}{6}=\frac{1}{6}

(答)16\dfrac{1}{6}

KRONE ポイント

sin⁡(中身)\sin(\text{中身}) は,まず「sin⁡(中身)中身→1\dfrac{\sin(\text{中身})}{\text{中身}}\to1」を切り出してから,残りを処理します。根号が残れば有理化,という二段構えで考えます。


型5:はさみうちの原理

sin⁡1x\sin\dfrac1x や cos⁡1x\cos\dfrac1x のように,振動して極限を持たない部分があるときは,基本公式では解けません。−1≦sin⁡θ≦1-1\leqq\sin\theta\leqq1,−1≦cos⁡θ≦1-1\leqq\cos\theta\leqq1 で上下からはさんで追い込みます。

例題5-1

lim⁡x→0xcos⁡1x\displaystyle\lim_{x\to0}x\cos\frac{1}{x} を求めなさい。

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x=0x=0 を除くすべての実数で −1≦cos⁡1x≦1-1\leqq\cos\dfrac1x\leqq1 です。

(ア) x>0x>0 のとき 各辺に xx をかけて,

−x≦xcos⁡1x≦x-x\leqq x\cos\frac1x\leqq x

x→+0x\to+0 で左右とも 00 に近づくので,はさみうちの原理より xcos⁡1x→0x\cos\dfrac1x\to0。

(イ) x<0x<0 のとき 各辺に xx(負)をかけると不等号の向きが変わり,

x≦xcos⁡1x≦−xx\leqq x\cos\frac1x\leqq -x

x→−0x\to-0 で左右とも 00 に近づくので,同様に →0\to0。

(ア)(イ) より,

lim⁡x→0xcos⁡1x=0\lim_{x\to0}x\cos\frac1x=0

(答)0

例題5-2

lim⁡x→∞[x]x\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{[x]}{x} を求めなさい。ただし [x][x] は xx を超えない最大の整数(ガウス記号)とする。

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ガウス記号の定義より,すべての実数で次の不等式が成り立ちます。

[x]≦x<[x]+1[x]\leqq x<[x]+1

これを変形して [x][x] をはさむ形にします。各辺から xx を考え直すと,

x−1<[x]≦xx-1<[x]\leqq x

x>0x>0 で各辺を xx でわると,

1−1x<[x]x≦11-\frac{1}{x}<\frac{[x]}{x}\leqq1

x→∞x\to\infty で左辺は →1\to1,右辺は 11。はさみうちの原理より,

lim⁡x→∞[x]x=1\lim_{x\to\infty}\frac{[x]}{x}=1

(答)1

はさみうちの原理

g(x)≦f(x)≦h(x)g(x)\leqq f(x)\leqq h(x) で lim⁡g(x)=lim⁡h(x)=L\displaystyle\lim g(x)=\lim h(x)=L ならば lim⁡f(x)=L\displaystyle\lim f(x)=L

KRONE ポイント

sin⁡1x\sin\dfrac1x・cos⁡1x\cos\dfrac1x・ガウス記号 [x][x] のように「値が確定しないが範囲は分かる」ものは,はさみうちの合図。−1≦cos⁡θ≦1-1\leqq\cos\theta\leqq1 などで上下からはさみます。xx が負のときは不等号の向きに注意。

確認演習5

lim⁡x→0x2sin⁡1x\displaystyle\lim_{x\to0}x^2\sin\frac{1}{x} を求めなさい。

答え・解説を見る

−1≦sin⁡1x≦1-1\leqq\sin\dfrac1x\leqq1 の各辺に x2x^2(≧0\geqq0)をかけると,

−x2≦x2sin⁡1x≦x2-x^2\leqq x^2\sin\frac1x\leqq x^2

x→0x\to0 で左右とも 00 に近づくので,はさみうちの原理より,

lim⁡x→0x2sin⁡1x=0\lim_{x\to0}x^2\sin\frac1x=0

x2x^2 は常に 00 以上なので,xx の正負で場合分けが要らないのが xcos⁡1xx\cos\dfrac1x との違いです。

(答)0


まとめ:型の見分け方

  • 基本は lim⁡x→0sin⁡xx=1\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\sin x}{x}=1。「sin(中身)/同じ中身」を作る
  • 型1:sin⁡ax/sin⁡bx\sin ax/\sin bx などは中身をそろえる → 係数の比
  • 型2:x→∞x\to\infty・x→π/2x\to\pi/2 などは tt で置きかえて x→0x\to0 に
  • 型3:1−cos⁡x1-\cos x は (1+cos⁡x)(1+\cos x) をかけて有理化 → 1−cos⁡xx2→12\dfrac{1-\cos x}{x^2}\to\dfrac12
  • 型4:根号入りも有理化で sin⁡(中身)中身\dfrac{\sin(中身)}{中身} を作る
  • 型5:sin⁡1x\sin\dfrac1x・ガウス記号は,はさみうちの原理

問題を見たら,まず「どの型か」を判断する。型さえ見抜ければ,あとは決まった手順を進めるだけです。


クローネ学園での指導

クローネ学園では,数Ⅲの極限を「公式の暗記」ではなく型の見分けとして指導しています。三角関数の極限は問題数こそ多いものの,使う手は今回の 5 つの型にほぼ収まります。「これは中身をそろえる型」「これは置きかえる型」と判断できるようになれば,初見の問題でも手が動きます。

大学受験では,この単元は微分の定義(sin⁡x−sin⁡ax−a\dfrac{\sin x-\sin a}{x-a} 型)や,極限を使った関数の連続・微分可能性の議論にもつながります。土台となる三角関数の極限を,型で整理して身につけておきましょう。

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本記事の文章・図版の著作権はクローネ学園に帰属します。無断転載・複製・二次利用を禁じます。(執筆:横田 耕祐)

FAQ

よくある質問

lim[x→0] sinx/x = 1 の公式はどんなときに使えますか?

x→0 のときに lim sinx/x = 1 が成り立ちます。使うコツは「sin(中身)/(同じ中身)」の形を作ることです。たとえば sin3x なら、分母も3xにそろえれば sin3x/3x → 1 が使えます。角度の中身と分母を一致させる、これが最大のポイントです。

x→0 以外の極限はどう解きますか?

x→∞ や x→π/2 のように x→0 でない極限は、t を置いて x→0 の形に持ちこみます。たとえば x→∞ なら t=1/x とおくと t→0 に、x→π/2 なら t=π/2−x とおくと t→0 になります。置きかえて x→0 の公式が使える形にするのが定石です。

1-cosx を含む極限のコツはありますか?

1-cosx は (1+cosx) を分母分子にかけて有理化します。すると分子が 1-cos²x = sin²x になり、sinx/x の公式に持ちこめます。lim(1-cosx)/x² = 1/2 はこの方法で導ける有名な結果で、覚えておくと計算が速くなります。

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