小学校で伸びる子の土台は、入学前の家庭でつくられている
勉強が得意になる子の土台は、入学前の家庭での過ごし方でつくられます。高松市の学習塾クローネ学園が、未就学期に育てたい「学ぶのが面白い」という感覚と、家庭でできる具体的な関わりを、経済学の視点も交えて解説します。
「小学校に上がる前に、何かやらせておいた方がいいのだろうか」
「でも、まだ小さいうちから勉強させるのも、かわいそうな気がする」
未就学のお子さんを育てるご家庭から、こうした声をよく聞きます。
早すぎる先取りは要らない。けれど、何もしないのも心配。この揺れは、とても自然なものです。たくさんの親子を見てきて感じるのは、小学校に入ってから伸びる子の土台は、多くの場合、入学前の家庭での過ごし方でつくられている、ということです。この記事では、その土台が何なのか、そして家庭でどう育てるのかを考えます。
入学前に育てたいのは、知識ではなく「学ぶのが面白い」という感覚
はじめに、いちばん大事なことをお伝えします。未就学期に育てておきたいのは、文字や計算の知識ではありません。「考えるのは楽しい」「知るのは面白い」という感覚そのものです。
早くから文字を覚え、計算ができる子は、たしかに入学直後は目立ちます。けれども、その差は多くの場合、一年もすれば消えていきます。一方で、「知りたい」「もっと考えたい」という感覚を持っている子は、後からずっと伸び続けます。入学時点の知識の差より、この感覚のあるなしの方が、はるかに長く効くのです。
これは、経済学の研究とも重なります。ノーベル経済学賞を受賞した経済学者ジェームズ・ヘックマンは、教育を「投資」としてとらえ、人生のどの時期に手をかけるのが最も効果が高いかを調べました。その結論は明快で、幼少期の働きかけほど、後々まで続く高い効果を生むというものでした。しかも、そこで育つのは知識そのものより、意欲や粘り強さといった、目には見えにくい土台です。つまり、入学前という早い時期に育てるべきは、点数ではなく、学びに向かう心の土台なのです。
土台は、机の上ではなく生活の中で育つ
では、その「学ぶのが面白い」という感覚は、どこで育つのでしょうか。答えは、机の上ではなく、日々の生活の中です。
未就学の子にとって、勉強と遊びの境目はありません。だからこそ、暮らしのあらゆる場面が、そのまま学びの入り口になります。特別な教材も、まとまった時間も要りません。
- 買い物のとき、「りんごを3つ取ってきて」と数を数えてもらう
- 散歩のとき、「どうして空は青いんだろうね」と一緒に不思議がる
- おやつを分けるとき、「二人で同じ数ずつ分けるにはどうする?」と考えてもらう
どれも勉強には見えません。子どもにとっては、ただの遊びであり、生活です。けれども、こうした何気ない瞬間に、数える・比べる・考えるという営みが、体に染み込んでいきます。机に向かう前に、すでに考える楽しさを知っている子は、後から来る学校の勉強を、知っている楽しさの延長として受け取ります。
読み聞かせは、ただ読むだけで終わらせない
生活の中の関わりで、とりわけ効くのが読み聞かせです。ただし、少し工夫の余地があります。
多くのご家庭が、絵本を読んであげています。それだけでも十分すばらしいことです。そこにもう一歩、読んだあとに、内容について一緒に話してみることを加えると、効果は大きく変わります。
「このあと、どうなると思う?」「この子は、どんな気持ちだったのかな?」。答えは何でも構いません。子どもが自分で考え、言葉にする。その体験が、考える力と、言葉で表す力を同時に育てます。読み聞かせは、物語を届けるだけでなく、親子で一緒に考える時間にできるのです。
「本を読みなさい」と言うだけの関わりと、一緒に読んで感じたことを話し合う関わりは、似ているようで、まったく違います。前者は指示ですが、後者は、世界の面白さを隣で一緒に見ることです。
これは、後の学年でも変わらない、家庭教育の原型です。親が隣で一緒に面白がる姿ほど、子どもに「学ぶのは楽しい」を伝えるものはありません。
早く始めた家庭ほど、後がずっと楽になる
ここで、少し先の話をしておきます。なぜ、入学前という早い時期にこだわるのか。
それは、この土台づくりが、後になればなるほど難しくなるからです。小学校に上がると、子どもの世界は一気に広がります。友だち、習い事、そしてゲームや動画。楽しいことが身の回りにあふれ、あえて「考える」というしんどいことを選ぶハードルは、どんどん高くなっていきます。
一方、未就学期は、子どもの世界がまだ小さく、家庭が過ごし方をととのえやすい、貴重な時期です。この時期に「考えるのは楽しい」という感覚を育てておくと、小学校に入ってからの勉強が、はるかにスムーズに始まります。
逆に、ここを飛ばしてしまうと、入学後に「勉強しなさい」と言い続ける日々が待っています。先に少し手をかけておくことは、後の何倍もの苦労を防ぐ、割のいい関わりなのです。早く始めた家庭ほど、後がずっと楽になる。これは、たくさんのご家庭を見てきて、はっきりと感じることです。
親は、先を見て、世界を見せるナビゲーター
最後に、この時期の親の役割について触れておきます。
未就学期の親にできるのは、勉強を教え込むことでも、放っておくことでもありません。子どもより少し先を見て、いつ何を見せるかを考えることです。行き先を命じるのではなく、子どもの隣で、世界の面白さを一緒に見る。そういう関わりです。
数を数える楽しさ、言葉で伝える喜び、知らないことを知る面白さ。これらを、生活の中でそっと差し出していく。子どもが「面白い」と感じた瞬間を、一緒に喜ぶ。派手なことは何もありませんが、この積み重ねが、小学校で伸びる子の土台になります。
クローネ学園が大切にしていること
クローネ学園では、答えをすぐに教えることをしません。自分でたどり着いたときの「分かった」という喜びこそが、勉強を好きにする一番の力だからです。この考え方は、実は未就学期の家庭での関わりと、まったく同じものです。
大学入試という遠いゴールから逆算しても、最後にものを言うのは、計算の速さや暗記の量ではなく、「自分で考えるのが面白い」と思える力です。その感覚の芽は、入学前の家庭で育ちます。だからこそ私たちは、できるだけ早い時期から、お子さんが「考えるのは楽しい」と感じられる関わりを大切にしています。
まとめ
- 小学校で伸びる子の土台は、入学前の家庭での過ごし方でつくられることが多い
- 育てたいのは知識ではなく「学ぶのが面白い」という感覚(幼少期の働きかけほど効果が高い)
- 土台は机の上ではなく、買い物・散歩・おやつといった生活の中で育つ
- 読み聞かせは、読むだけでなく、一緒に考え話し合う時間にすると効果が大きい
- 早く始めた家庭ほど後が楽になる。親は先を見て世界を見せるナビゲーター
クローネ学園では、お子さんが「考えるのは楽しい」と感じられる学びを大切にしています。
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本記事の文章・図版の著作権はクローネ学園に帰属します。無断転載・複製・二次利用を禁じます。(執筆:横田 耕祐)
FAQ
よくある質問
未就学のうちから、勉強を教えた方がよいのでしょうか?
文字や計算を早く教え込むことより、「知るのは面白い」という感覚を育てることをおすすめします。この時期に大切なのは知識の量ではなく、考えること・分かることを楽しいと感じる体験です。それが、小学校に入ってからの勉強を「すでに知っている楽しいこと」として受け取る土台になります。
何歳から始めれば間に合いますか?
早いほど楽なのは事実ですが、「◯歳まで」という線引きはありません。大切なのは、日々の生活の中に、考える・数える・言葉にするといった小さな体験を混ぜていくことです。特別な早期教育の教材は必要ありません。買い物や散歩、絵本の読み聞かせといった、ふだんの暮らしがそのまま土台づくりになります。
共働きで時間がありません。それでもできることはありますか?
長い時間をかける必要はありません。一日の中のほんの数分、たとえば夕食の支度をしながら「これ何個あるかな」と数えたり、寝る前に絵本を一冊読んだりするだけで十分です。大切なのは時間の長さではなく、親子で一緒に考える瞬間があること。その積み重ねが、後の学びを支えます。
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