子どもが勉強しないのは、親のよかれが原因かもしれない|3つの失敗
ゲームばかりで勉強しない。その背景には、親がよかれと思ってやっている3つの関わり方があるかもしれません。高松市の学習塾クローネ学園が、ごほうび・継続・教えすぎという失敗を、経済学の視点も交えて解説します。
「ゲームや動画ばかりで、まったく勉強しない」
「宿題をやらせるだけで、毎日くたくたになってしまう」
高松で子育てをするご家庭から、こうした声をよく聞きます。
こういうとき、私たちはつい「子どもの意志が弱いから」と考えがちです。でも、たくさんの親子を見てきて感じるのは、少し違うことです。子どもが勉強に向かわない背景には、しばしば、親がよかれと思ってやっている関わり方があります。この記事では、その代表的な3つの失敗を取り上げます。どれも、熱心な親御さんほど陥りやすいものです。
失敗1:ごほうびで釣ると、勉強はごほうびのための手段になる
「宿題が終わったらゲーム」「テストで何点取れたら動画」。これは、多くのご家庭でされている、ごく自然な約束です。漫画やおもちゃを使うこともあるでしょう。
ただ、この方式には一つ落とし穴があります。ごほうびを目的に置くと、 子どもにとって勉強は「ごほうびを手に入れるための我慢」 になってしまいます。中身を深く考えるより、早く終わらせて形を整えることが目的になる。これでは、勉強そのものへの興味は深まりようがありません。
これは私の経験則であると同時に、よく知られた法則でもあります。経済学や心理学では アンダーマイニング効果 と呼ばれ、外から与える報酬が、もともとあった「面白いからやる」という内側の意欲を打ち消してしまう現象 です。ごほうびを与えるほど、ごほうびがないと動かなくなる。数多くの実験で繰り返し確認されています。
ごほうびは、勉強を始めさせる力にはなります。けれども、勉強を好きにさせる力にはなりません。むしろ、遠ざけてしまうことがあります。
では、どうすればよいのか。ごほうびで外から動かすのではなく、「できた」という感覚そのものを味わわせることです。小さな達成を、その場で一緒に喜ぶ。それが、内側からの意欲を育てます。
失敗2:継続を「気合い」に頼ると、2〜3週間で途切れる
新しい勉強法を聞いてきて、最初の2〜3週間は頑張れる。でも、いつのまにかやらなくなっている。無料のドリルを始めても、同じことが起きる。
これは、ご家庭の根気の問題ではありません。「毎日やりなさい」と声をかけ続ける方式そのものに、無理があるのです。
人は、目の前の楽なことを優先し、遠い先の利益を軽く見てしまう性質 を持っています。経済学では、これを 現在バイアス と呼びます。今日は疲れているから明日から、が積み重なって、いつのまにか途切れる。しかも、それを止めるのが親の「声かけ」だけだと、親の側のエネルギーが続かなくなった瞬間に、すべてが止まります。
だからこそ、続けるコツは気合いではなく 仕組み です。経済学には、自分の意志の弱さをあらかじめ見越して、続けざるを得ない仕組みを先に 作っておく コミットメント という考え方があります。
| 気合いに頼る方式 | 仕組みに変える方式 |
|---|---|
| 「時間があるときにやろう」 | 毎日決まった時間にやる(夜ごはんの前など) |
| 「たくさんやらせたい」 | 1日1枚など、負担を極限まで小さくする |
| 「やりなさいと毎日言う」 | 言わなくても始まる流れを、生活に埋め込む |
歯磨きのように、決まった時間に、考えなくても始まる。そこまで作れば、親が毎日言わなくても続くようになります。
失敗3:教えすぎると、子どもは「分かったふり」を覚える
宿題を横で見ていると、つい教えたくなります。「そこはこうでしょう」と。熱心な親御さんほど、そうです。
でも、ここに落とし穴が2つあります。
1つめは、親が教えれば教えるほど、子どもが自分で考える時間を失っていくこと。考える力は、自分で考えた分だけ育ちます。 先回りして答えを渡すと、その機会が奪われます。
2つめは、もっと見えにくい落とし穴です。子どもは、親をがっかりさせたくありません。だから、本当は分かっていなくても「分かった」と言ってしまうことがあります。親が「分かった?」と確かめるほど、子は「分かった」と答えたくなる。
これは、経済学でいう 情報の非対称性 の一例です。子どもの頭の中は、親には直接見えません。その 見えない差を、子どもは「分かったふり」という行動 で埋めてしまう。すると、どこでつまずいているのかが、親からは見えなくなってしまいます。
教えることは、悪いことではありません。ただ、「教える」と「考えさせる」は違います。親の役割は、答えを渡すことより、自分でたどり着くのを待つことです。
答えをすぐに言わず、「どこまで分かった?」「どこで止まった?」と、つまずきの場所を一緒に探す。分かったふりをする必要のない空気をつくる。 それが、本当のつまずきを見えるようにします。
3つの失敗に共通する、たった1つの原因
ごほうびで釣る。継続を気合いに頼る。教えすぎる。この3つは、別々のことのように見えて、根っこは同じです。
いずれも、学習の主役が、子どもではなく親になっているのです。
- 親がごほうびを設計し、
- 親が「やりなさい」と言い続け、
- 親が教え込む。
主役が親だから、親が飽きれば続かず、親が満足すればそれでよしになり、子どもは考える機会を失います。
だから、向かうべき方向は一つです。学習の主役を、親から子どもに返すこと。親は、答えを出す人でも、監視する人でもなく、子どもが自分で走れるように、そっと隣で支える人になる。その関わり方については、勉強好きの子は何が違うのかの記事でも触れています。
クローネ学園が大切にしていること
クローネ学園では、答えをすぐに教えることをしません。自分でたどり着いたときの「分かった」という喜びこそが、勉強を好きにする一番の力だからです。そして、その喜びを毎日味わえるように、KRONE LABの無料ドリルは、ごほうびで釣るのではなく、「できた」という小さな達成が積み重なる作りにしています。
主役はいつも、お子さん自身です。
まとめ
- 子どもが勉強しない背景には、親がよかれと思ってやる3つの失敗があることが多い
- ごほうびで釣ると、勉強がごほうびのための手段になる(アンダーマイニング効果)
- 継続を気合いに頼ると途切れる。仕組みに変える(現在バイアスとコミットメント)
- 教えすぎると、子どもは分かったふりを覚える(情報の非対称性)
- 3つの根は同じ「親が主役」。学習の主役を、子どもに返すことが解決の方向
クローネ学園では、お子さん自身が主役になれる学びを大切にしています。
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本記事の文章・図版の著作権はクローネ学園に帰属します。無断転載・複製・二次利用を禁じます。(執筆:横田 耕祐)
FAQ
よくある質問
ごほうびで勉強させるのは、なぜよくないのですか?
ごほうびで釣ると、勉強が「ごほうびを得るための手段」になり、ごほうびがないと動かなくなるからです。これは経済学でアンダーマイニング効果と呼ばれ、外からの報酬がもともとの興味を打ち消すことが知られています。勉強そのものを面白がる方向には向かいにくくなります。
勉強法を試しても2〜3週間で続きません。根気がないのでしょうか?
根気の問題ではなく、方式の問題です。「毎日やりなさい」と声をかけ続ける方式は、親のエネルギーが続かないと途切れます。続けるコツは気合いではなく仕組みです。歯磨きのように、決まった時間に考えなくても始まる流れを作ると、親が毎日言わなくても続くようになります。
宿題を横で教えてはいけないのですか?
教えること自体が悪いのではなく、教えすぎると子どもが自分で考える時間を失います。また、親を満足させたくて、分かっていなくても「分かった」と言ってしまうことがあります。答えをすぐ教えるより、自分でたどり着くのを待つ関わり方が、考える力を育てます。
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