カード交換パズルに挑戦|中学受験の算数で解く高校入試の良問
香川県の高校入試で出た「カードと袋」の問題を、中学受験の算数で解けるようにやさしく組み直したチャレンジ問題です。方程式を使わず、中学受験でみがいた考え方だけで解けます。受験算数の思考力は難関高校合格への最短ルート。中学受験のトレーニングを積んだ小学生におすすめの良問を、高松市の学習塾クローネ学園がていねいに解説します。
この問題について
この記事では、実際に高校入試で出された「カードと袋」の問題を、中学受験の算数で解けるようにやさしく組み直したチャレンジ問題を紹介します。
方程式や文字式は使いません。中学受験のトレーニングを積んだ小学生なら、算数の考え方だけで解ける良問です。もともと高校入試で出された問題を、方程式を習う前の小学生が算数で解ける——これは偶然ではありません。受験算数でみがく思考力は、そのまま難関高校合格への最短ルートになります。 中学受験で「どう工夫すれば楽に解けるか」を考えぬいた経験は、中学・高校の数学でそのまま生きるからです。
計算そのものは難しくありませんが、そのまま解こうとすると手間がかかります。「どう工夫すれば楽に解けるか」を見つけられるかどうかが、この問題のポイントです。まずは答えを見ずに、自分の手で挑戦してみてください。解き方の工夫は、下の解説でひとつずつ明かしていきます。
カード交換パズルのルール
何も書かれていないカードがたくさんと、何も入っていない袋を 1 つ用意します。次の 5 つの作業を、順番におこないます。
作業のルール
- 作業① 5 枚のカードに数を 1 つずつ書いて、その 5 枚を全部袋に入れる。
- 作業② 袋から同時に 2 枚取り出す。その 2 枚の数の合計を書いた新しいカードを 1 枚、袋に入れる。取り出した 2 枚は袋にもどさない。
- 作業③ 袋から同時に 2 枚取り出す。その 2 枚の数の合計より 1 大きい数を書いた新しいカードを 1 枚、袋に入れる。取り出した 2 枚は袋にもどさない。
- 作業④ 袋から同時に 2 枚取り出す。その 2 枚の数の合計より 2 大きい数を書いた新しいカードを 1 枚、袋に入れる。取り出した 2 枚は袋にもどさない。
- 作業⑤ 袋から同時に 2 枚取り出す。その 2 枚の数の合計を答えとする。
たとえば花子さんは、作業①で 1,2,3,5,7 の 5 枚を袋に入れました。作業②で 3 と 5 を取り出したので、合計の 8 を書いたカードを入れ、袋の中は 1,2,7,8 の 4 枚になりました。このあと作業⑤まで進めます。
- 問 1 花子さんが作業⑤まで進めると、答えはいくつになりますか。
- 問 2 次郎さんは、作業①で 5 つのちがう数を書きました。すると、作業②で取り出した 2 枚のうち一方は 3、作業③で取り出した 2 枚のうち一方は 1 でした。さらに、作業③を終えたとき、袋の中の 3 枚はすべて同じ数になっていました。作業⑤の答えが 62 になったとき、次郎さんが作業①で書いた 5 つの数を求めなさい。
難易度: ★★★☆☆ 目安時間: 6分
問 1 の解説
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「どの 2 枚を取り出したか」を 1 枚ずつ追う必要はありません。 袋の中の数字の合計が、作業のたびにどう変わるかだけを見ます。
- 作業② 2 枚の合計をそのまま入れる → 合計は変わらない
- 作業③ 合計より 1 大きい数を入れる → 合計は 1 増える
- 作業④ 合計より 2 大きい数を入れる → 合計は 2 増える
- 作業⑤ 残った 2 枚の合計が答え → そのときの袋の合計がそのまま答え
なぜ「そのまま」「1 増える」「2 増える」になるのか、作業②で確かめます。 たとえば 3 と 5 を取り出すと、袋の合計は だけ減ります。 かわりに合計の 8 を入れるので、 増えます。差し引き 0 で、合計は変わりません。 作業③は入れる数が 1 大きいので合計は 1 増え、作業④は 2 大きいので 2 増える、というわけです。
花子さんの作業①の合計は
ここから作業②で変わらず、作業③で 1 増え、作業④で 2 増えるので、 作業⑤の直前の合計は
作業⑤は、この残った 2 枚の合計が答えなので、答えは 21 です。
(答)21
KRONE ポイント
カードを 1 枚ずつ追うと大変ですが、合計だけを見れば、作業のたびに「、、」を足すだけで答えが出ます。「何が変わって、何が変わらないか」を見つけるのが、この手の問題の急所です。
問 2 の解説
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問 1 で見つけた「合計だけを追う」考え方を、今度は逆向きに使います。
まず、作業①の 5 つの数の合計を考えます。 合計は作業②で変わらず、作業③で 1 増え、作業④で 2 増えます。 作業⑤の答え(残った 2 枚の合計)は 62 なので、作業①の合計は 62 から 1 と 2 を引いて
作業①の 5 つの数の合計は 59 です。
次に「作業③を終えたとき、袋の 3 枚がすべて同じ数」という条件を使います。 作業③を終えた時点の合計は、作業①の合計 59 に 1 を足した 60。 これが同じ数 3 枚ぶんなので、1 枚は
つまり作業③のあとの袋は、20 が 3 枚(20,20,20)です。
ここから 1 つずつさかのぼります。
作業③をさかのぼる。 作業③は、2 枚(一方は 1)を取り出して、合計より 1 大きい数を入れる作業です。 作業③のあとの 20,20,20 のうち、1 枚が新しく入れたカード。その数は 20 なので、 取り出した 2 枚の合計は 。 一方が 1 だったので、もう一方は 。 残りの 2 枚は 20,20 のままだったので、 作業③の直前(=作業②のあと)の袋は 1,18,20,20 の 4 枚です。
作業②をさかのぼる。 作業②は、2 枚(一方は 3)を取り出して、合計を入れる作業です。 作業②のあとの 1,18,20,20 のうち、1 枚が新しく入れたカード(=取り出した 2 枚の合計)です。 一方が 3 なので、この新しいカードは「3 ともう 1 つの数の合計」で、3 より大きいはず。 1,18,20 のうち、3 を引いても 1 以上残るのは 20 だけです。
だから作業②で取り出した 2 枚は 3 と 17。 新しく入れた 20 をのぞいた残り 1,18,20 が、そのまま作業①に書いてあった数です。 これに、取り出した 3 と 17 を合わせると、作業①の 5 つの数は
合計は で、ちゃんと合っています。5 つとも別の数です。
最後に、この 5 枚で実際に作業をたどって、答えが 62 になるか確かめます。
たしかに 62 になりました。
(答)1,3,17,18,20
KRONE ポイント
答え(62)が分かっているときは、うしろから逆にたどると一気に解けることがあります。合計を使って「作業③のあとは 20 が 3 枚」と決められたのが、この問題の突破口でした。前から全部ためすより先に、「決め手になる条件はどれか」をさがしてみましょう。
クローネ学園での指導
クローネ学園では、こうした問題を「答えが合ったからよし」で終わらせず、なぜその方針を選んだのかを自分の言葉で説明できるところまで指導します。「そのまま解くと大変だけど、こう工夫すれば楽になる」と自分で気づけたとき、初めて見る問題にも立ち向かう力がつきます。
考える力を育てる指導のポイント: すぐに答えを教えず、「どこに注目したらいい?」と問いかけて、子ども自身が方針を見つける経験を積ませます。この経験の積み重ねが、初見の問題に強い子を育てます。
よくある質問
Q. この問題は小学生でも本当に解けますか?
解けます。使うのは中学受験の算数でよく登場する考え方だけで、方程式や文字式は必要ありません。ただし、いくつかの条件を組み合わせて考える力が必要なので、中学受験のトレーニングをある程度積んだ小学生向けの、歯ごたえのある良問です。解き方の工夫は下の解説でひとつずつ説明しています。
Q. 全部の場合を書き出さないと解けませんか?
書き出さなくても解けます。カードを 1 枚ずつ追いかけると大変ですが、ちょっとした工夫で一気に見通しがよくなります。その工夫は解説の中でひとつずつ説明しているので、まずは自分で「どこに注目すれば楽になるか」を考えてみてください。
Q. 中学受験の勉強が高校入試にも役立つのですか?
役立ちます。この問題はもともと高校入試で出たものですが、方程式を使わず算数の考え方だけで解けます。中学受験で身につけた「工夫して見通しをよくする力」や「逆に考える力」は、中学・高校の数学でもそのまま武器になります。受験算数でみがいた思考力は、難関高校合格への最短ルートにもなります。
クローネ学園では、計算力の土台づくりから中学受験対策まで、一人ひとりに合わせて個別に指導しています。
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本記事の文章・図版の著作権はクローネ学園に帰属します。無断転載・複製・二次利用を禁じます。(執筆:横田 耕祐)
FAQ
よくある質問
この問題は小学生でも本当に解けますか?
解けます。使うのは中学受験の算数でよく登場する考え方だけで、方程式や文字式は必要ありません。ただし、いくつかの条件を組み合わせて考える力が必要なので、中学受験のトレーニングをある程度積んだ小学生向けの、歯ごたえのある良問です。解き方の工夫は記事の解説でひとつずつ説明しています。
全部の場合を書き出さないと解けませんか?
書き出さなくても解けます。カードを1枚ずつ追いかけると大変ですが、ちょっとした工夫で一気に見通しがよくなります。全部を書き出そうとすると時間がかかるので、まず「何に注目すれば楽になるか」を考えるのが大切です。その工夫は記事の解説の中でひとつずつ説明しています。
中学受験の勉強が高校入試にも役立つのですか?
役立ちます。この問題はもともと高校入試で出たものですが、方程式を使わず算数の考え方だけで解けます。中学受験で身につけた「工夫して見通しをよくする力」や「逆に考える力」は、中学・高校の数学でもそのまま武器になります。今のうちに考え方の型を身につけておくことが、その後の伸びにつながります。
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