【数Ⅱ】接線の方程式|「曲線上の点」と「曲線外の点」の違いを1つの考え方で攻略
「曲線外の点を通る接線」で手が止まる高校生へ。接線の方程式は、曲線上でも曲線外でも『傾きは微分係数・接点を通る』というたった1つの考え方に帰着します。2つの違いは「接点を知っているか、文字で置くか」だけ。この土台を、具体例とつまずきの急所つきで解説します。
この記事について
微分を習うと出てくる「接線の方程式」。曲線上の点での接線は解けるのに,「曲線外の点を通る接線」になったとたん手が止まる——この差でつまずく高校生はとても多いです。教科書では別の問題のように並んでいますが,実はこの2つはまったく同じ1つの考え方でできています。
この記事の土台は,たったこれだけです。
接線とは,傾きが微分係数 で,接点を通る直線。
曲線上でも曲線外でも,求めることはこれだけ。ちがいは「接点を知っているか,文字で置くか」の一点だけです。この土台をつかめば,2つのタイプが地続きに見えてきます。
接線の土台:傾きは微分係数、接点を通る
復習:傾き で点 を通る直線は 。 接線も直線なので,まずこの直線の式を思い出しておきます。なぜこの形になるのか,理由まで確認しておきましょう。
傾き の直線は と書けます( は切片)。この直線が点 を通るなら, を代入して ,つまり 。これを戻すと,
となります。 は,「傾き 」と「通る1点 」さえわかれば直線が1本に決まることを,そのまま式にしたものです。接線も結局は直線なので,あとは「傾き」と「通る点」の2つを用意すれば書けます。
では,すべての出発点になる考え方を確認します。関数 のグラフ上の点 における接線は,
- 傾き=その点での微分係数
- 通る点=接点
なので,いまの直線の式 にあてはめて,
これが接線の方程式の完成形です。接線の問題は,結局この式の (接点)をどう決めるかに尽きます。 がわかれば,あてはめるだけで終わります。
接線の問題=「接点 を決める問題」。式はいつも 。
曲線上の点:接点はもう与えられている
与えられた点が曲線の上にあるとき,その点がそのまま接点です。 を探す必要はありません。
例題1 上の点 における接線を求めよ。
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点 は曲線上の点なので,これが接点です。 とわかっているので,この土台の式にあてはめるだけです。
を微分して 。傾きは
接点 を通り,傾き の直線だから,
(答)
例題2 上の点 における接線を求めよ。
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なので, はたしかに曲線上の点。これが接点です。
より傾きは
接点 を通り,傾き の直線だから,
(答)
曲線上の点では,接点が最初からわかっているので,微分係数を傾きにして即あてはめるだけ。ここは迷う余地がありません。
曲線外の点:接点を と置いて、通る条件で決める
問題は,与えられた点が曲線の上にないときです。たとえば のような点。このとき, は接点ではありません。接点はグラフ上のどこか別の場所にあり,まだわかりません。
ここで詰まる人の多くは「与えられた点を接点として代入してしまう」というミスをします。外の点は接点ではないので,それでは解けません。わからない接点を と置く——これが外の点の唯一にして最大のポイントです。
例題3 点 から放物線 に引いた接線を求めよ。
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まず確認: を代入すると 。だから は曲線外の点です。接点ではないので,接点を と置きます。
, より,接点 における接線は,土台の式にあてはめて
この接線が点 を通る,という条件で を決めます。 を代入して,
接点は と の 2つ。外の点からは接線が2本引けるわけです。それぞれ土台の式にあてはめます。
のとき,傾き ,接点 だから 。
のとき,傾き ,接点 だから 。
(答),
例題4 点 から放物線 に引いた接線を,接する条件(判別式)で求めよ。
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例題3は「接点を と置く」解法でした。同じ問題は,接する条件でも解けます。どちらも結局は同じ土台を別の文字で表しているだけです。
まず確認: で なので は曲線外の点。求める接線を「傾き で を通る直線」と置きます。
これが と接する条件を使います。連立して を消すと,
接する=この2次方程式が重解をもつ,ということなので,判別式 :
なら , なら 。
(答),
接点を で置く解法(例題3の流れ)と,傾き を置いて判別式で解くこの解法は,どちらも「接する」という同じ土台を別の文字で表しているだけです。3次関数など「接する=重解」が使いにくい曲線では で置く解法を,放物線では判別式を,と使い分けると速く解けます。
曲線外の点:接点はわからない → と置く → 接線を で表す → 「外の点を通る」を代入して を決める。
つまずきの急所:解く前に「上か外か」を必ず確かめる
このタイプで答えを落とす原因は,ほぼ1つです。与えられた点が曲線上か曲線外かを確かめずに解き始めること。
- 上の点なのに で置いて遠回りする(解けるが時間を浪費)
- 外の点なのに,その点を接点として代入してしまう(解けない・答えを落とす)
防ぐ方法は簡単です。解き始める前に,点の 座標を関数に代入し, 座標と一致するか確かめる。一致すれば上の点(その点が接点),一致しなければ外の点(接点を と置く)。例題3で最初に を確認したのは,このためです。
はじめの一手は「代入して上か外かを判定」。ここを飛ばすと外の点で必ず詰まる。
まとめ:接線は1つの土台、ちがいは接点の置き方だけ
| 曲線上の点 | 曲線外の点 | |
|---|---|---|
| 与えられた点は | 接点そのもの | 接点ではない |
| 接点 は | 既知(その点) | 未知 → と置く |
| 手順 | 微分係数を傾きに即あてはめ | 接線を で表し,通る条件で を決める |
| 接線の本数 | 1本 | 接点の個数だけ(複数のことも) |
| 共通の式 |
教科書では別々に並ぶ2つのタイプも,土台はまったく同じ「傾きは微分係数・接点を通る」です。ちがいは接点を知っているか,文字で置くかだけ。だから,まず点が曲線の上か外かを確かめ,上なら即あてはめ,外なら接点を で置いて通る条件で決める——この一本道で,どちらも崩せます。
接線が「2点を結ぶ割線の極限」であることや,微分係数が接線の傾きになる理由は,数Ⅲ・三角関数の極限の記事で扱う「極限」の考え方とつながっています。土台から理解しておくと,応用が利きます。
クローネ学園での指導
クローネ学園では,接線の問題を「上の点の公式」「外の点の公式」と別々に暗記させません。『傾きは微分係数・接点を通る』という1つの土台から,両方を同じ流れで導けるように指導します。やり方を2つ覚えるより,1つの考え方で2つを説明できる方が,初見の問題にも強くなるからです。
接線を得点源にする指導のポイント: 「解く前に上か外かを判定する」「外なら接点を と置く」という手の動かし方を,言葉で説明できるところまで練習します。公式の暗記ではなく,土台からの理解。これは,計算をAIが肩代わりするこれからの時代にこそ価値が出る学び方です。
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本記事の文章・図版の著作権はクローネ学園に帰属します。無断転載・複製・二次利用を禁じます。(執筆:横田 耕祐)
FAQ
よくある質問
曲線上の点と曲線外の点で、接線の求め方はどう変わりますか?
考え方は同じで、ちがうのは『接点を知っているかどうか』だけです。曲線上の点なら、その点がそのまま接点なので、微分係数を傾きにして即座に接線が書けます。曲線外の点では接点がわからないので、接点を (t, f(t)) と文字で置き、『その接線が外の点を通る』という条件から t を求めます。どちらも『傾きは微分係数・接点を通る』という1つの土台から出てきます。
なぜ曲線外の点では接点を t と置くのですか?
接線は必ず曲線のどこか1点で接していて、その接点が決まらないと傾きも決まらないからです。外の点はその接点ではないので、まだわからない接点を t と置きます。接線の式を t で表しておき、最後に『外の点を通る』条件を代入すると t の方程式ができ、接点が定まります。接点が複数あれば、外の点から引ける接線も複数本になります。
与えられた点が曲線上か曲線外か、どう見分けますか?
その点の x 座標を関数に代入して、y 座標と一致するかを確かめます。一致すれば曲線上の点(その点が接点)、一致しなければ曲線外の点(接点は別にあるので t と置く)です。この最初の確認をとばすと、外の点なのに上の点として解いてしまい、答えを落とします。解き始める前に必ずチェックする習慣をつけましょう。
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